2016/02/17

平田好則教授最終講義

 大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻平田好則教授の最終講義が昨日16日、大阪大学の岡田メモリアルホールで開催された。講義には門下生を初め生産科学のOBなど平田教授の業績と交友を反映して幅広く出席し盛大となっていた。
 最終講義とは、日本の大学独特の行事で、定年退職する教授が、現役の学生のみならずOBなどを前に行うもので、記念講演的な色彩が強いのが通例。
 平田教授は、「溶接から接合へ、そして…」と題し、大阪大学工学部溶接工学科の卒業から今日に至る大学生活を時系列的に振り返りながら講義を進めた。
 この中で、卒業研究から修論研究、学位論文そして今日まで一貫して取り組んできたアーク溶接現象の研究について多くの時間を割いて言及し、1パルス1ドロップ移行が溶滴移行として安定していると提案したこと、数値モデルへのチャレンジを行ったことなどを紹介していた。
 また、溶接の継手部そのものが製品の一部となることから溶接はISOにおいて特殊工程と位置づけられる宿命にあり、今後はこの特殊工程からの克服が研究者にとっての大きなテーマであると指摘していた。
 しかし、溶接は製造業あるいはファブリケーションにとっての基幹技術であることに変わりはなく、溶接の自動化やロボット化、高品質化といった命題は引き続き重要で、このためにもこれまで取り組んできた溶接アーク現象の研究の一層の進展が期待されると展開していた。
 また、医学界では大学の研究者のみならず、病院の医師なども含め基礎から応用まで最新の知見を共有しながら研究を進めていることを引き合いに、工学分野においても研究者から技術者に至るまで結集した医学と同様の土壌が必要だとしていた。
 とくに学生に向けては、知的好奇心が科学技術の進展を引っ張るし、科学技術の進歩のスピードは速く、漫然と傍観していたのでは取り残されると激励していた。
 最後に、夢のようなロードマップだがと断った上で、溶接・接合分野の将来について、2040年頃には、接合部を感じさせない完全接合の時代が到来しているのではないか、そのためには量子ビームといったような接合技術が開発されているだろうとも述べていた。
 平田教授の最終講義は90分の時間を20分もオーバーするほどの熱のこもったもので、しかも研究に関する内容が大半となるそれこそ「講義」となっていて、人生全般を謳歌する「講演」が多いこれまでの一般的な最終講義とはひと味違ったものとなっていたが、一貫して溶接への愛情が溢れていて感動的なものとなっていた。


写真1 平田好則教授最終講義の模様。

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