2016/02/16

「北斎36+10+1!」展

 千葉県野田市の茂木本家美術館で開催されている展覧会で、葛飾北斎の浮世絵『富嶽三十六景』全作品が展示されている。
 有名な作品が多くて見慣れた印象があるが、改めて子細に鑑賞すると、北斎の大胆な構図や一瞬をとらえた情景に感心する。どの作品も状態がよくて、一級品を間近に見られる感動があった。
 なお、展覧会名に「+10」とあるのは当初の36景に追加された10景も合わせて展示されているからだということ。36景の評判がよくて追加出版されたもののようだ。
 詳しくはわからないが、当初36景では輪郭線に藍色を使ったのに対し追加10景では墨色となっているとのこと。もっとも、私はその違いに気がつかなかった。
 また、「+1」となっているのは「赤富士」の異版として「青富士」も展示されていたから。これも珍しいもので、2枚の作品が対置されて展示されていたが、「青富士」には「赤富士」ほどの鮮やかさが感じられなかった。また、私には異版というよりは、同じ版木で刷り色を変えたもののように受け止められた。
 このたびの展覧会では北斎作品のみならず、富士山を描いた日本画、洋画も展示されていた。横山大観「霊峰富士」、中島千波「朝霧富士」、片岡珠子「めでたき富士」はじめ梅原龍三郎、絹谷幸二ら10数人の作品が並んでいて圧巻だった。中では千住博の「朝の富士」が独特の存在感が感じられてよかった。
 茂木本家美術館は浮世絵のコレクションで知られるが、北斎の富岳作品が関連するものも含め一堂に展示されることは珍しいことのようで、なかなか貴重な体験だった。
 また、茂木家はもとよりキッコーマンの創業家だが、コレクションの充実ぶりに感服もしたのだった。また、美術館そのものもすばらしい建築だし、運営方法でも、入館には予約制を取り入れてじっくりと鑑賞させるなど工夫も見られていて、感心することしきりだった。


写真1 千葉県野田市の茂木本家美術館。


写真2 富嶽三十六景のうち「尾州不二見原」(会場で販売されていた絵はがきから引用)


写真3 片岡珠子「めでたき富士」(同)

お勧めの書籍