2016/02/03

信濃上田

 高田からはえちごトキめき鉄道、しなの鉄道、信越本線、再びしなの鉄道と乗り継ぎ上田で途中下車した。
 上田ではまず上田城跡を訪ねた。高田もそうだったが、上田もたびたび訪れているものの、上田城跡を見物したことはこれまでなかった。どうも業務出張の途次で観光にまで足を伸ばすのは気持ちが落ち着かない。
 上田城は、乗ってきたしなの鉄道の車窓からも上田駅到着の直前左に見えていて、駅からは歩いて坂道を登ること十数分、小高い丘の上にあった。
 もとより、上田城は真田真幸を初代とする真田家の居城で、折から今年のNHKの大河ドラマ『真田丸』の舞台とあって、寒い中にもかかわらず大勢の観光客が訪れていた。
 城跡は、麓からは見上げるようにあったが、どうやらこれは丘の上に土塁を盛り上げて築いたもののようで、南側には千曲川が流れていて、その内側に堀を配置したもののようだった。
 上田城といえば、徳川の大軍を2度までも撃退したことで知られ、どれほどの堅牢な城かと興味津々だったのだが、石垣は本丸に入る東虎口櫓門のために築かれているだけで、少なくとも現在に伝わるものは見当たらないようだった。これで大軍をまかしたとなれば、城の堅牢さに加え真田の戦略が秀でていたのであろうと思われた。
 その東虎口櫓門には左右に南櫓と北櫓が組まれ復元されていた。見事だったのは、その石垣に組まれていた「真田石」と呼ばれる巨石で、大人の背丈ほどもあるものだった。
 上田城からは上田駅にとって返し、上田電鉄で別所温泉に寄った。上田は広くは千曲川の右岸が旧市街地で、上田城もこちら側となる。その千曲川の左岸遠く山際に開けたのが別所温泉である。電車は上田駅を出るとまもなく千曲川を渡った。別所温泉駅まで上田駅から約27分。
 大規模な温泉街でもないが、信州でも人気の温泉場ではあるだろう。別所温泉駅から緩やかな坂道を十数分登ると温泉街に入る。
 別所温泉は初めてでもないが、せっかくのことだし外湯(共同浴場)に浸かった。温泉街には外湯が三つほどもあるようだが、そのうち入ったのは石湯。温泉街の最も奥まったところにあり、外湯の中では最も熱い風呂として知っていた。真田幸村隠しの湯との看板が出ていた。
 数人も入ればいっぱいになるような小さな風呂だが、先客が二人いた。いずれも80年配の老人。
 初め、冷え切った身体には熱いようにも感じたが、次第にとても馴染んできた。42度ほどか。表示には泉温50.6度、湯温43度とあったが、寒中引いてくるうちに多少温度が下がるのだろう。表示通り43度が欲しいようにも思われたが、とても気持ちよくてゆったり入った。泉質は単純泉であろうか、無色無味無臭でさっぱりしていた。
 一緒になったご老人の話によると、やはりこの石湯が外湯の中では最も熱いのだそうだ。もう一つの大師湯の方はぬるっとしていて、そのためか芸者の湯とも呼ばれているらしく、石湯に比べぬるいそうだ。
 ところで、家に帰ったら、このところ毎週旅に出ていたこともあって、家内から「いらっしゃいませ。このたびはいかほどご滞在でございますか。どうぞごゆっくりおくつろぎ下さい」と皮肉られてしまった。

 


写真1 『真田丸』の舞台上田城跡。これは石垣が組まれた東虎口櫓門。堀は結氷していた。


写真2 上田電鉄別所温泉駅。クラシックな名駅である。


写真3 外湯の一つ石湯。温泉街では湯が最も熱い。

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