2015/11/25

ものづくりを支える溶接接合技術

 昨日24日は、千葉県習志野市にある日本大学生産工学部で講演を行った。
 機械工学科の大久保通則教授の依頼によるもので、大久保先生とはかねて昵懇で、実は、当初、大久保先生から、大学で溶接について何かお話をしてくれないか、という依頼があったときには、それが立ち話の際の軽い誘いでもあったので、大久保研の学生相手に漫談でもすればいいのだろうと軽く考えて引き受けたのだが、これがまったくの安請け合いで、専攻主任教授からの正式の依頼状が届いてみたら機械工学科の学生を対象に特別講義を行うというものだった。
 私は、エンジニアでもないし、ましてや研究者でも学者でもなし、固辞したのだが受け入れてくれず、恥ずかしながら講義などという大それたことを行う羽目になってしまったのだった。
 ただ、溶接を専門とする新聞社出版社の記者、編集者として45年のキャリアはあり、学生相手に溶接の一端でも知ってもらえればこれに過ぎる幸いなことはないわけで、ジャーナリストの立場からトピックスを駆使して事例に基づくやさしい解説を心掛け、溶接接合技術への理解向上を狙いとして話を進めた。
 壇上に上がってまずは驚いた。何と聴講する学生は120人超もいるではないか。院生もいるようだし、教員らしき方々の姿も見える。
 演題は、「ものづくりを支える溶接接合技術」で、持ち時間は90分。パワーポイントを用意していき、図表写真と動画を中心に話を進めていった。
 全編がレビューだが、内容的には、溶接とは実は何か、溶接の歴史や溶接の長所と短所などを導入部として、世界最先端の溶接接合事情について話を展開した。幸い、私は仕事柄、国際的なカンファレンスや、今日的に時宜を得たセミナーなどを聴講する機会は少なくなく、そういった経験をもとに講演の材料を集めたのだった。
 この中でとくに強調したのは、一つには今年5月オーストリアで開催された自動車工業における溶接接合技術に関する国際カンファレンスについて、このカンファレンスではルノー、アウディ、ダイムラー、フォルクスワーゲン、BMWといった欧州自動車メーカーが最新技術情報を開陳する講演を行って刺激的な内容になっていたこと、材料としてはギガパスカル級高張力綱やアルミニウム合金、CFRPなどとマルチマテリアル化の方向が示され、溶接接合技術としてはレーザやFSW、ボンディングなどと異種材料、複合材料の接合を踏まえた多様化の傾向が著しかったことなどを話したのだった。
 そしてとくに付け加えたことは、欧州の自動車メーカーがこうして共通の場で溶接接合技術に関する最新事情をぶつけ合い、切磋琢磨している事情だった。
 溶接への理解を深めてもらおうとの私の意がどこまで伝わったかはわからないが、壇上から話していて感心もし感激もしたことは、聴講する学生たちの姿が熱心なことで、目を輝かしていたことだった。


写真1 教室を満員にした講義の模様


写真2 熱心に聴講する学生たち


写真3 講演の様子

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