2015/11/19

シカゴ交響楽団

 シカゴ滞在中の一夜、シカゴ交響楽団(CSO)の演奏会に出かけた。会場はそのままずばりオーケストラ・ホール。泊まっているホテルから徒歩数分のところ、シカゴ美術館の向かいだった。
 CSOのフランチャイズで、たいそう立派なコンサートホールだった。扇形に広がったホールで、バルコニー席も含めると3階建てか。客席数は2千席を超すようだった。
 チケットは日本であらかじめ手配しておいたのだが、私の席はA-1、つまり、中央やや左寄り最前列だった。私は、普段は、シンフォニーの場合は中央よりやや後方あたりの席を好むのだが、席の指定を間違ったものらしい。何しろ、舞台を見上げるような席だし、オーケストラの全体がつかめなかった。また、指揮者と独奏者のパフォーマンスは間近に見られたものの、肝心の音は頭の上をかすめていくようだった。
 そう言えば、苦笑いしながら席に着いたら、隣に座っていた年輩の女性が話しかけてきて、「こういう席が好みなのか」と尋ねるから、いや、座席指定を間違えたようだと答えたら、大いにうなずいて笑っていた。あるいは同感だったのかもしれない。
 さて、CSOは、会場でもらったパンフレットによれば、ちょうど125年目のシーズンを迎えたとのことで、大変伝統のあるオーケストラ。ニューヨークフィルハーモニックやボストン交響楽団とも並び称されるが、好事家に言わせれば、CSOこそ全米第一、世界一流だとの評もあるようだ。私は、シカゴはたびたび訪れていて、シカゴブルースのライブには出かけたことはあったが、CSOのコンサートは初めてだった。
 演奏は、指揮エド・デ・ワールト。著名なオランダ人指揮者で、このたびは客演のようだった。
 演目は、初めにモーツアルトのヴァイオリンコンチェルト第5番。モーツアルトにとって最後のヴァイオリン協奏曲で、5曲中では最も人気が高い。ヴァイオリンはオーガステン・ハイデリッヒ。まだ若いヴァイオリニストだった。
 曲は、いかにもモーツアルトらしい流麗で美しい調べ。ただ、コンチェルトの場合、演奏中に挟まれる独奏者がオーケストラ無しに独奏する場面をカデンツァというらしいが、この部分は、随分と激しいように思われた。また、この曲には「トルキッシュ(トルコ風)」との呼び名が付されていたが、私にはその意味するところがわからなかった。うっかり居眠りでもしていたのか、聞き漏らしたらしい。演奏時間は30分だった。
 2曲目は、ジョン・クーリッジ・アダムズ作曲『ハルモニーレーレ』。アダムズはアメリカ人作曲家で、本作は1985年の作曲のようだ。
 この曲は、とても眠っていられるような曲ではなかった。とにかく、頭から爆発したように打楽器が打ち鳴らされ、管楽器、弦楽器が一斉に立ち上がる。
 3楽章から構成されていたが、これがシンフォニーと呼べるものなのかどうか。振幅はそれなりにあるのだが、全体に曲想がつかみにくかった。とても、曲名にあるようなハーモニーは感じられなかった。演奏時間は約40分。
 演奏が終わると、もちろん大きな拍手が捧げられたのだが、アメリカ人の好むスタンディングオペレーションというものもなく、アンコールもなかった。観客にとっても難しい曲だったようだ。


写真1 シカゴ交響楽団の演奏を迎えるオーケストラホールの様子。

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