2015/11/18

シカゴのプラザアート

 このたびのシカゴ出張では、滞在中、泊まっているホテルとマコーミックプレイスの往復ばかりで、ほとんど自由な時間が取れなかった。それで、ホテルからわずか歩いて数分のところにあるシカゴ美術館にすら寄れない始末だった。
 ただ、幸いなことは、シカゴ到着が日曜の朝便だたため、ホテルに荷物を預けて中心部をぶらぶらすることはできた。
 シカゴはたびたび訪れていて、ループ(高架の環状線)の周辺なら地図も必要ないほどで、実際、地図もガイドブックも持たず手ぶらで歩きまわった。
 シカゴは、アーキテクチャーの町といわれるほどに建築が多彩で魅力的なのだが、同時に、プラザアートもシカゴの面白さ。
 プラザアートとは、プラザ、すなわち高層建築の前庭に設置されたアート作品のことで、シカゴの名物。あちこちのプラザに屋外彫刻作品が展示されている。それも、私が泊まっていたホテルの周辺に集中していてとてもよかった。
 ホテルは、モンロー通りとステイト通りの角にあって、モンロー通りをそのまま1ブロック西に向かいすぐの角を右折すると、早速、チェイスが入っているビルの前にエクセロンプラザ(旧バンクワンプラザ)というのがあって、ここに巨大なモザイク壁画があった。コンクリート壁の無骨な建物で、壁画は階段状に掘り下げられた半地下のようなところにある。
 シャガールの『四季』で、私の歩幅で測ると20歩×3歩。つまり、約16メートル×2.4メートルで、高さは3メートルほど。いかにもシャガールらしい幻想的でやさしい色合いの壁画だ。随分と年代が経っているようで鮮明さにはやや欠けるが、シャガールの魅力は失われてはいない。
 ここから2ブロック北上し左折すると右手にピカソの有名な作品『アンタイトル(無題)』が見えてくる。デイリー・シビック・センターで、鉄がむき出しのビル。コールテン鋼という、一時流行った鉄鋼材料で、ピカソの作品も同じ素材を使って製作されているようだ。経年変化で赤茶色を帯びていた。
 ただ、前庭には屋台が一面に並んでいて、近寄ることができず柵の外側から眺めるだけ。はなはだ見通しが悪い。確か高さが15メートルほどあったはずで、大きな作品。何に見えるかは人それぞれかもしれないが、私にはたてがみを立てたライオンのようにも見えた。
 このビルの道路を挟んですぐ向かい側の建物の脇にあるのが、ミロの『シカゴ』。上部は鉄製だが全体はコンクリートで製作されたもののようで、一風変わった女性像のようにも見える。何でも、シカゴで最もプロポーションのいい女性という評判らしい。
 さらに北上してすぐ次のブロックがジェイムズ・R・トンプソンセンタービル。壁面が円形の巨大なガラス張りの建物で、いかにも前衛的な作品があってデュビュッフェ『起立している獣のモニュメント』というらしい。複雑な構造をしていて、下に潜り込んでしばし瞑想したが、浮かんだのは情けないことに雑念ばかりだった。
 ホテルに戻りながら南下すると、連邦政府センタープラザ。ここにカルダーの『フラミンゴ』。赤く色を塗られた鉄製の大きな作品で、高さは10数メートルもありそうだ。私にはフラミンゴというよりは、巨大な昆虫のようにも思われた。
 いずれにしても、シカゴの都心は、わずか数百メートルの範囲にアート作品があちこちにあって、散策するに楽しいところ。しかも、街路は碁盤状だし、東西南北どちらを見てもループを望むことができるから方角を見失うことがなく迷っても不安になることはない。


写真1 ピカソ『アンタイトル(無題)』


写真2 デュビュッフェ『起立している獣のモニュメント』


写真3 カルダー『フラミンゴ』

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