2015/10/07

紀伊国屋漢薬局

 秋葉原は、戦後は電気街として隆盛してきたし、最近ではサブカルチャーの街などと呼ばれるようになったが、そもそも神田のうちだし、老舗も少なくない。
 その中でもこの店の歴史はすごい。店舗の前の看板に天和二年(1682年)の創業とある。初代源四郎が紀伊家三代目綱教候の参勤交代のお供をして江戸に出てきたのが始まりだという。現在は14代目である。
 秋葉原駅電気街口から万世橋交差点を渡って昌平橋方向にすぐ右側。千代田区外神田1丁目2番14号所在。このあたりは旧町名を神田松住町といったが、創業以来330年余、ほぼこの地を離れていないというのもすごい。
 もとより漢方薬のメーカーであり(製薬工場が群馬県にある)、老舗の薬局。店に入ると漢方薬局特有のにおいがあり、由緒が感じられる古い扁額が掲げられ、薬棚が配置されている。いかにも老舗を思わせる佇まいである。
 創業以来受け継がれてきた超ロングセラーというのも幾つかある。その一つは「牛王丸」(ごおうがん)。古くは牛黄と呼ばれていたように、希少な牛黄を初め熊胆などを配合したもので、体質改善などに好まれるらしい。将軍家も愛用されたという。
 「腎気丸」(じんきがん)も創業以来の漢方薬。一般に八味丸と呼ばれるもので、8種類の生薬が配合されている。弘化三年(1846年)に発行されたパンフレットが現在に伝わっているが、老化防止に効能があるとされている。
 この店が取り扱う薬の種類は1千種にも上るらしいが、漢方薬の人気は衰えがないようで、全国から引き合いがあるようだ。
 ただ、原料は希少性の高いものばかりで、薬はなかなか高価にならざるを得ないらしい。もっとも、それは現代になったからだけというものでもないようで、古来、貴重な薬ばかりで、このため誰でも購入できたというようなものではないらしい。

 


写真1 紀伊国屋漢薬局店舗外観。


写真2 店内の様子。老舗の漢方薬局らしい佇まい。


写真3 超ロングセラーの一つ「腎気丸」(八味丸)。

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