2015/10/02

公募展

 秋の美術シーズン真っ盛りということで、都内の美術館やギャラリーでは数多くの公募展が開催されている。
 知人からの案内があって上野の東京都美術館に出かけたのだが、とても賑やかでびっくりした。
 この美術館はそもそも公募展などへ貸し出す貸し館専門の美術館なのだが、この日は7つもの展覧会が開催されていた。主催団体の会員向けのものが大半のようだったが、中には非会員でも出品できる展覧会もあるようだった。
 このうち知人が出品していたのは「純展」という公募展。今年45回目という伝統のあるもので、油彩を中心に水彩画など200人もの出品があった。会員あるいは出品者には首都圏在住者が多いようだった。
 会場を一巡して感心した。100号前後の大きな作品が多くてまずはそのことに感心したのだが、なかなか力作が多くてそのことにもっとびっくりした。
 ただ、子細に鑑賞すると、出品作品にはレベルの差があるようだったが、しかし、これも公募展ならではの面白さなのかもしれない。
 また、大きな画布いっぱいに描かれていてそのことで迫力はあるものの、惹きつける魅力はやや弱かったかもしれない。テクニックの巧拙よりもそのことが気になって難しさを感じた。ちょっと辛口になるけれども。
 招待状を下さった戸田泰生さんの今回の出品作品は「白壁のある里」というもの。白壁の土蔵が建ち並ぶ里山の風景を描いたもので100号の大作。構図もそうだが、田畑の色彩がとてもユニーク。とくに画面の中央を占める独特の青が白壁によってますます美しいものとなっていた。
 戸田さんは日鐵溶接工業のOBで、駆け出しの頃からお世話になっていてもう40年以上ものおつきあい。
 戸田さんは、日鐵溶接工業OBたちの美術同好会「藍の会」の中心メンバーで、年1回のグループ展は私も楽しみにしていて、戸田さんの作品はここ数年来毎年目にしてきている。
 この経験で言うと、戸田さんのこれまでの作品は、国内外を問わず旅先で得た情景を一瞬で切り取ったという題材が多くて、それも油絵の具を塗り重ねた迫力ある画面が持ち味。
 それに対して、今回の出品作品はややおとなしくて、画風が変わったのかと思われたほど。しかし、奥へと重なり合う田畑の青と土蔵の白とが映えている素晴らしい色彩で、このような風景に出会えるのなら私も訪ねてみたいものだと思ったものだった。

 


写真1 純展会場の模様


写真2 戸田泰生「白壁のある里」

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