2015/10/01

日本伝統工芸展

 恒例の公募展で今年が62回目。日本橋の三越で開かれていた。
 陶芸や漆芸、人形、染織、木竹工、金工などで構成されている。いずれも超絶技巧を施した見事な作品が多くて、素人が見ても感嘆する美しさだった。
 陶芸や漆芸にいいものが多かったように思われたが、仕事柄というべきか、注目したのは金工の部門で溶接の手法を使った作品が数点見られたこと。
 とくに、文部科学大臣賞に輝いた家出隆浩(埼玉県嵐山町)の「編込接合器ひびき」は、できあがりを見ても解説されなければちょっと見当のつかないような制作方法だった。
 あやおりがねと作者が命名している手法で、2本の薄い金属板を竹籠のように網代編みにしている。1本が赤銅で、もう1本が四分一(しぶいち=銀と銅の合金のこと)とある。編んだあと、1枚の板にしてその上でろう付している。ろう付したのは、機密性を保つためと板材として強度を増すためと思われる。作者はこの板を金工でたたきお椀のように仕上げていたが、2種の金属材料が見事な織り模様となっていた。とくに、たたいて器にする際、ろう付部がはがれたり、割れたりしないものか、そこのあたりも大変な技巧のように思われた。
 ただ、この作品は自立できなくてビニール紐で支えて展示されていたが、連れだって見に行った家内が、「自立できない器とはいかがものか」と疑問を呈していたが、なるほど、作者の意図は奈辺にあったのか。


写真1 家出隆浩「編込接合器ひびき」(展覧会開催案内のパンフレットから引用)

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