2015/08/06

魅力のローカル線鶴見線

 鶴見線とは、京浜東北線の鶴見駅から扇町駅を結び、横浜市から川崎市にまたがって京浜運河沿いに京浜工業地帯を走る路線。鶴見-扇町間7.0キロ。また、浅野駅から分岐して海芝浦駅に至る海芝浦支線1.7キロと武蔵白石駅から分岐して大川駅に至る大川支線1.0キロの二つの支線があり、ほかに複数の貨物線がある。短い路線だがJRとしては幹線扱いである。
 先週の土曜日8月1日、真夏の暑い盛りだが、この鶴見線にぶらり乗りに出かけた。
 鶴見駅で鶴見線ホームは高架上にあり、しかも乗り換え口に出口でもないのに改札がある。これは乗ってわかったことだが、鶴見線は全駅が無人駅なのである。それでこういう仕組みになっているのであろう。
 鶴見9時02分発扇町行き。3番線。3両の電車。立っている人こそいないがまずまずの乗客数。鶴見線は工場への通勤客が相手。沿線に住宅などさしてないはず。土曜日でも出勤している人が少なくないのであろう。
鶴見駅で鶴見線は西側に位置しており、高架ホームから発車した列車は少しして左にカーブしながら東海道線などを跨いでいく。工場地帯の中を進んでおり、弁天橋では右窓にジャパンマリンユナイテッドの造船所のクレーンが見えた。かつての日本鋼管鶴見造船所で、この工場は次の浅野まで続いている。
 この浅野でいったん下車、海芝浦行きに乗り継ぐ。後続の列車が海芝浦行き直通だったのだが、浅野の駅の様子が見たくて1本早くした。9時09分着。
 浅野駅は鶴見線本線と海芝浦支線のホームがY字形に配置されている。そのY字形の上部が改札口である。ICカードのリーダーが設置してある。乗客は乗降に際し各自でこのリーダーにタッチする仕組み。見ていると切符という人はいないようで、みんながきちんとタッチしていた。改札を出て右に進むと造船所の正門である。
 駅で列車の接近を待っていたが、土休日ダイヤの場合、各方面合わせ9時台が3本、10時から14時までは2本しかない。ホームの端では芙蓉の花がきれいに咲いていた。
 海芝浦行きが来た。9時27分の発車。やはり3両の電車。海芝浦行きの列車本数はさらに少なくて、9時から3時までの間はほぼ2時間に1本の割合。
 浅野を出た列車は運河沿いに走る。新芝浦を経てわずか4分で終点海芝浦。ユニークな駅で、出口はそのまま東芝京浜事業所への通用口である。だから、一般の乗客は下車することができない。つまり改札口の外には出られないということだが、下車したのは社員数人と見物人4人。このうち3人は明らかに鉄道ファンのようだった。
 ただ、東芝の好意なのであろう、駅舎の端に海芝公園なる猫の額ほどのスペースがあった。ホームは片面1線、運河に張り出している。海に最も近い駅であることは間違いない。
 京浜運河に面していて眼前を船がしきりに行き交う。猛暑だし日差しも照りつけているのだが、海を渡ってきた風が心地よい。また、鶴見つばさ橋が埋め立て地と埋め立て地を跨いでいる。陰になっているがその先が横浜ベイブリッジのはずだ。
 駅には「関東の駅百選」の表示があった。この駅で降り立ったのはこれで5度目だが、実際、これほど個性的な駅も二つとないし、なかなか独特の風情がある。私の好きな駅の一つである。
 10時ちょうど発の列車で折り返しやはり浅野で乗り換えて扇島に向かった。浅野10時04分着09分発。3両の電車。どうやら鶴見線はすべて3両編成ばかりのようで、それも車両は205系で揃っているようだ。かつては戦前からの古い通勤車両が使われていたものだったが、随分と様子が変わった。
 扇町10時17分着。ここも行き止まりの終着駅の一つである。ただ、貨物線が数本も先へと伸びていて、頻繁に貨物列車が通過している。また、駅付近には昭和電工の化学プラント工場があった。
 扇町から10時30分発ですぐに折り返し、浜川崎で南武線に乗り換えた。この浜川崎駅は鶴見線と南武線の接続駅だが、同じ駅とはとうてい思われない。
 つまり、鶴見線から南武線に乗り換えるには鶴見線の駅からいったん外にでて、道路を渡って南武線の駅へと移動しなくてはならない。鶴見線の出口で、南武線に乗り継ぐ人はカードリーダーにタッチするなとアナウンスしていた。
 鶴見線は本線支線合わせ10キロに満たない短い路線。乗り継ぎを繰り返しながら約2時間の旅。決して風光明媚な路線ではないが、東京近郊にこれほど楽しくも魅力ある路線があるというのもうれしいこと。鉄道ファンならずとも楽しめるのではないか。


写真1 海芝浦駅ホーム。海に張り出している。


写真2 海芝浦駅ホームの眼前。京浜運河と鶴見つばさ橋。


写真3 扇町駅ホーム。左は貨物線の架線。密度が濃い。

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