2015/07/08

鳴子温泉から入道崎へ

 このたびの東北旅行では、復旧した仙石線や石巻線で石巻から女川を訪ねた後は、さらに足を伸ばして秋田、青森と巡った。
 7月1日、まずは女川から石巻線で小牛田を経て陸羽東線で鳴子温泉へ。この日はここで宿泊。
 鳴子は東北を代表する温泉地の一つで、これまでに途中下車したことはあったものの、泊まったのは初めて。駅のポスターによると、青春18切符で行く温泉番付東横綱とある。
 幾つかある共同浴場のうちの一つ滝の湯に入った。数多くある源泉のうち鳴子温泉由来のものらしいが、ここの湯加減が絶妙だった。酸性度が高いようで、お湯は白濁している。湯温は43度ほどか。入っているうちにもう1度くらい欲しいような気もしたが気持ちよく浸かった。帰り際に番台の男に何度かと尋ねたところ43度だという。
 さて、翌7月2日。前日の篠突くような雨が上がって快晴である。鳴子温泉6時06分発。再び陸羽東線で、沿線は田んぼも山々も緑がいっぱい。長沢で正面に月山が遠望できた。残雪が美しい。
 新庄で陸羽西線に乗り継いだ。古口で最上川が右窓に近づいてきた。大河だが、夜来の雨で川が濃い茶色に濁っている。稲の生長は20センチくらい。順調だろうか。さらに余目で羽越本線に乗り換え、酒田を経て秋田へ。11時25分着。
 ここで男鹿線に乗り継ぎ。男鹿線は奥羽本線の追分が起点だが、すべての列車が秋田発着となっている。秋田12時12分発、男鹿行き。
 入道崎へ行くなら終点の一つ手前の羽立でもバスに接続しているがこの日は男鹿まで行った。やはり終着駅には降り立ちたいもの。ただし、帰途はこの羽立でないと列車に接続していなかった。男鹿まで行ってしまうと接続列車を逃してしまう。こういうことがままある。
 男鹿13時06分着。駅前に男鹿温泉行きのバスが待っていた。すぐに13時09分の発車。男鹿線の列車が遅れると逃してしまいかねないきわどい接続である。事実、同じ列車で到着したと思われる人で発車してしまったバスに駆け寄っている姿があった。もちろんバスは停まってくれたが。また、途中寄った羽立駅前では同じ列車で来た人が乗り込んできた。バスを確実につかまえるためにはこれが賢明である。ただし、この人は岬ファンではあっても鉄道ファンではないのだろう。
 男鹿半島は秋田県で日本海に鋭く突き出た半島で、地図で見るとまるでサイの頭のような形をしている。男鹿駅は顎のあたりに位置し、入道崎は突き出た角の部分である。だから、バスは半島を北上して横断するように進む。なお、八郎潟は半島の付け根に広がる。
 約50分で終点の湯本駐在所前。バス停には乗り継ぐ次のバスが待っていた。男鹿市が委託しているワンボックスカーで料金はわずかに100円。本来地元住民のための自動車のようで、事前予約が必要。
 10分弱で入道崎到着。岬周辺は芝生に覆われた台上になっていて、一見するだけでは鋭く突き出た断崖絶壁の岬という印象ではない。
 岬には入道埼灯台があった。白と黒の縞模様の灯台で、雪国ではよく見られる塗色。真っ白では雪に覆われて目立たないからで、白と赤の縞模様などという灯台もある。
 高さが約28メートルもあるらしくなかなか背の高い灯台で、登ることができる全国でも数少ない参観灯台の一つである。145段のらせん状の階段を登ってベランダに出ると眼前に日本海が広がる。この日は曇っていているが視界はさほど悪くはない。風もさほど強くない。
 両手を広げると180度を超す見晴らしで、岬の醍醐味を満喫できる。左手には岩礁が先へと続いている。海岸段丘独特の形状で、波浪が砕け荒々しくて、バスを降りたときに受けたおとなしい印象とはまるで違う。台上は海面から30メートルの高さにあるらしい。なお、右手方向の視界は広がらない。
 座標は灯台の位置で北緯40度00分18秒、東経139度42分06秒である。つまり、この岬はちょうど北緯40度線上にあるわけで、岬の台地にはそのモニュメントがある。なお、調べてわかったが、北緯40度は世界地図では地中海やアメリカのフィラデルフィアあたりらしい。
 この岬を訪れたのはこれが3度目。初めは30数年前の厳冬期で、あまりの風の強さと寒さに震え上がった記憶が鮮明に戻ってきたのだった。訪れる人とてなく人影はまったくくなかった。1軒あった売店も夕方には店じまいしていたのだった。
 それが、今回訪れてみると、ちょっとした観光地になっていて、観光バスがやってくるし、駐車場には自家用車が並んでいた。当然売店も6軒ほど軒を連ねていた。初夏の陽光もあってどこまでも穏やかな入道崎となっていた。

     


写真1 台地上の岬に立つ白と黒の縞模様の入道埼灯台。


写真2 灯台上から見た入道崎風景。台地に立つのが北緯40度のモニュメント。


写真3 男鹿線の終着駅男鹿駅。

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