2015/06/25

兵馬俑

 圧倒的感動だった。
 そもそもこの兵馬俑が見たくて西安に足を伸ばしたようなもの。中国に見どころは数多いが、あえて絞れば万里の長城と兵馬俑はその双璧か。いずれも人工物ではあるが、万里の長城には4度行ったことがあり、兵馬俑は長年の夢でやっと念願がかなった。
 兵馬俑は西安の北西30キロほどのところ。西安駅前からバスで向かった。駅前は巨大なバスターミナルとなっていて、といっても建物があるわけではないし、行き先別の案内地図も容易には見つからないが、各地へのバスがしきりに発着している。西安はシルクロードへの入口でもあるわけだが、行き先を見ると、蘭州などとあってこれはもうまさしく西域世界。
 兵馬俑は世界遺産でもあるし、西安観光のハイライトだし、ピンマァヨンと叫べば、あっちこっちと指さして教えてくれる。
 やっと見つけて乗り込んだらやたら古くさいバス。路線バスだったのだ。その分料金は安くてたったの約160円。1日観光バスなら14,000円もするらしい。乗り込む際に所要時間をただしたらちょうど1時間だという。
 そのきっかり1時間で「秦始皇兵馬俑博物館」到着。入館料約3千円。開館の8時30分に少し遅れただけで入ったのでまだ空いている。
 3つの展示館があって、まずは1号坑へ。1974年最初に発掘された坑であろう。体育館のような大きな建物で、サッカー場くらいの広さがある。
 中に入って息をのんだ。無数の兵馬俑が整然とびっしり並んでいる。鳥肌が立つような圧倒的感動だ。ついに我が目で実物を見たという感激があった。
 俑とは副葬品の人形のこと。この場合、兵士や軍馬が形取られているので兵馬俑というのだろう。土製で、内部は空洞。
 秦は、紀元前221年に成立した中国史上初の統一王朝で、始皇帝はその最初の皇帝。それで秦始皇帝と呼ぶ。あるいは中国では単に秦始皇とも呼んでいた。
 秦始皇帝は絶大な権力を握ったが、その権力をそのまま死後の世界に持ち込もうとして建設したのが始皇帝陵で、その副葬品が兵馬俑ということなのであろう。このため地下帝国があるのではないかとも推測されているが未だ発見はされていない。
 兵馬俑は等身大である。発掘された状態に近くということなのであろうか、地中深く埋められている。整然と隊列を組んで兵士たちは屹立している。生々しくて生き埋めされたような錯覚にとらわれる。怒ったような顔の者、無表情の者、あるいは居眠りをしているような者までいる。
 さらに、2号坑、3号坑には俑を間近で見られるようにガラスケースに入れて陳列してあって、それによると、やはり俑の表情は実に豊か。どれ一つとして同じものはないと言われている。
 その姿も、立っている者、矢を射るような構えをしているもの、片膝を立てた者などとと様々だし、鎧の種類などから兵士の階級もわかるらしい。顔立ちや髷の形などから多くの民族が動員されていることもわかるらしい。
 また、彩色も施されていたらしく、その見本が展示されていたが、実に色彩豊かなものだった。
 発掘された部分だけで、兵士8000体、馬600体、戦車100台にもなっているという。気の遠くなるような膨大なもので、中国の権力者のすさまじさがうかがい知れて呆然とした。
 なお、発掘は停止しているのだそうで、それは彩色が薄れることを恐れるからだということだった。ただ、発掘された部分の修復作業は営々と続けられているようだった。

 


写真1 兵馬俑1号坑の全景。


写真2 俑は整然と隊列を組んでいる。


写真3 一つとして同じ顔のものがないというほど表情が豊か。

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