2015/06/19

中国メーカーの実力は?

 上海フェアは18日の3日目になって、客足は急速に衰えた。いったいに中国の展示会は概して初日2日目こそ大変な盛り上がりを見せるのだが、3日目には下降線となり、4日目の最終日は出展関係者だけの姿が目立ち、まるで撤収日の様相となる。日本では3日目4日目こそ盛り上がるから正反対である。
 そう言えば、会期中面談した、主催者であるCMES(中国機械工程学会)の張彦敏専務理事が、かつて見た日本のウエルディングショーについて最終日の閉館時間ぎりぎりまで来場者が途切れないことに「日本の新技術習得にかける熱心さの表れだ」といって感心していた。
 また、同じ会見で張専務理事は北京エッセンフェアの発展には日本の協力によるところが大きいと話していて、同時に、「中国の展示会は製品を展示することが中心であるのに対し、日本の展示会は技術を展示している」として彼我の差を指摘していて、「しかも日本では数年先の技術までも開発状況を展示している」と感嘆していた。
 張専務理事はハルピン溶接研究所長を歴任した経歴の持ち主だけに、中国の展示会事情、溶接事情を率直に語ったものとして貴重な意味を持つ。
 実際、このたびの北京エッセンフェアを見て感じたことは、先端技術をリードしていたのはあくまでも海外メーカーだったということ。地元中国メーカーも成長しているのだが、この構図はまったく変わらない。
 確かに、中国溶接業界の発展に長らく携わってきた要人はかつて「表面だけ見れば日本と肩を並べたように受け止められるかもしれないが、中味がまるで違う。品質ということで計ったら、中国は依然として日本の20年遅れだ」と語っていたことがあった。
 今年で20回目を迎えた北京エッセンフェアだが、私は第1回から欠かさずそのすべてに参加した経験を持つのだが、この過程で、ここ10数年来は、地元メーカーの成長を測る物差しとして時代グループ、カイアルダ、華意隆の3社を観察してきた。
 この3社は若い技術者による起業という共通点を持つのだが、いずれもおおむね順調に発展してきたとこれまでは見えていたのだが、今回展示内容を見てやや足踏みしているようにも思われた。
 時代は溶接から切断に至るまでの総合メーカーに成長していて、今や地元メーカーのリーダー格である。今回もロボットによるステンレスのプラズマ切断やアルミのミグパルス溶接を実演していた。ロボットも自家製のようだった。また、2トンの引張り試験機の実物をどんと持ち込んでいたのには驚いた。
 カイアルダは成長戦略がより表面に出ている。もともとフルデジタルをいち早く手がけていたが、数年前にロボット製造で安川と手を結んでいてその存在を強調していた。カイアルダとしては難しいロボット技術を手に入れ、安川としては中小ユーザー向けの販路開拓を容易にしたことだろうと競合他社は見ているようだった。
 3社の中では最も遅れてこの北京エッセンフェアに登場してきた華意隆だったが、その後、派手な宣伝を展開し俄然注目メーカーの1社の地位を占めるに至っていた。ただ、今回は展示規模を大幅に縮小していたし、内容的にもアピールするものが見当たらなかった。
 溶断機の分野では、大族激光が注目された。激光とはレーザのことだが、2.5キロのファイバーレーザ切断機を出品していた。発振器はIPG製らしいが、数百台もの納入実績があるらしい。また、装置は出品していなかったが、レーザブレージングのテストピースを並べていた。
 結局、メーカーポジションを狙う地元企業たちは、当初こそ順調そうに見えたものの、成長するにつけ世界のトップとの差が埋まらないことに気がついてきたのかも知れない。
 会場で会った世界のトップメーカーたちは、日本に輸出できるレベルに達していないのが現実だとしていた。もっとも他方では、中国の市場の大きさと資金力の豊富さから見たら早晩世界のトップに追いつくだろうとも見ていた。ただ、10数年経ってまだトップに肩を並べていないのは、それだけ溶接技術の難しさでもあると指摘する向きもあった。
 こうしたメーカー事情の一方で、注目されていたのは海外メーカーの代理店やシステムインテグレーターの存在だった。
 浙江精巧科技は、大型マニピュレーターに天吊りロボットを搭載し、一つのヘッドではアーク溶接を行い、もう一つのヘッドではプラズマ切断を行っていた。この二つのヘッドは自動交換できるようになっていた。アーク溶接はフローニアスの電源にリンカーンの溶材を搭載していたし、プラズマ電源はキエルベルグ製だった。また、このシステムでは2台の天吊りロボットが同時に協調制御で運転していた。
 STEPは、ABBのロボットにOBARAのガンを搭載して抵抗溶接を行っていたし、トルンプのディスクレーザセルも出品していた。
 これらシステムインテグレータたちの活躍が、世界トップレベルの溶接技術、切断技術を中国に普及する大きな存在となっていくものと思われた。


写真1 地元メーカーとして存在感を示す時代グループ。


写真2 溶断機分野で成長著しい大族激光。


写真3 活躍が期待されるシステムインテグレータの浙江精巧科技。

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