2015/06/18

新しいステージへ

 上海フェア2日目。昨日17日も参観者の出足は好調で初日に引き続き相変わらず盛況。
 初日駆け足で巡った会場をもう一度なぞるように2日目はもう少しじっくりと見て回った。
 それで感じたこと。
 まず一つは、世界の先進的な溶接技術を総花的に紹介する段階は過ぎて実用化に向けてより専門性が高まったということ。同時に材料やプロセスの多様性も進んでいた。
 その一つとしてアルミやステンレスの関連の展示が一挙に増えた。材料ではリンカーンがプレミアムアルミワイヤと称し136キロの大容量パックを出品していたし、金風がFSW(摩擦攪拌接合)を出品して注目を集めていた。北京エッセンでFSWが登場したのはこれが初めてかも知れない。ここではアルミ+銅の異種材料継手の見本も展示してあった。
 新しいプロセスということでは、レーザ溶接が一挙に増えた。IPGやトルンプといった世界的な発振器メーカー、加工機メーカーに加え進出企業が相次いでバリエーションが広がった。
 パナソニックが昨年の東京に続いて北京そして上海へと半導体レーザを出品していたが、同社によるとユーザーの反応はいいらしい。ロボットメーカーのABBもトルンプのレーザを搭載してレーザ溶接をアピールしていたし、IPGはKUKAのロボットに搭載していた。
 ついこの間まではロボットにさせていた仕事は抵抗溶接とアーク溶接が大半だったが、この頃はロボットの握るトーチはレーザというわけである。
 当然、ロボット化の動向は急速な展開となっている。とくに上海や広州など沿岸部では人手不足だし、賃金の上昇もあって自動化ニーズは高い。
 そういうことでロボットに関し世界の一流メーカーがこぞって顔を揃えている。ファナックや安川に加えダイヘンやパナソニック、川崎などと日本メーカーがリードするほか、ABBやKUKA、LORCHといった欧州勢に時代グループやカイアルダといった地元勢も加わって俄然激戦の様相だ。
 専門性の高まりということで興味深いものを順不同になるがいくつか拾ってみよう。
 神戸製鋼はアーク溶接ロボットで立向上進溶接を行っていたが、これは珍しい。造船などを念頭に置いたものであろう。
 福知山重工が溶接棒製造のための塗装機を出していたし、フラックス入りワイヤの製造装置も出品していた。日本ではついぞ見かけなくなったものだけに面白い。
 日鐵住金溶接工業はプラズマ溶接機でステンレスの溶接を実演していた。ティグ溶接やレーザ溶接との競合がどうなるのか、棲み分けはどう進むのか興味深い。
 ドイツの鉄鋼メーカーフォエスタルピンは傘下のボーラー社の溶接材料を出品していた。名前はすでに知られていたが、出展社としては新顔企業の進出である。
 ボスクグループのレクスロスはマイクロ抵抗溶接と品質管理機器を出品していたし、ドイツのキエルヴェルグがプラズマ切断機中心を構成する要素製品の出品を行っていた。また、ユテクはプラズマ粉体肉盛溶接の実演を行っていた。
 溶断分野の出品が多かったのも今回の大きな特徴。
 田中が2キロワット級のファイバーレーザ切断機を出品して関心を集めていたし、メッサーもファイバーレーザを出品してほか、同社は同時にレーザとプラズマの複合機を出品していた。
 小池はガスフレームとプラズマの複合機を出していたし、地元メーカーの進出も著しくて厳しい競争が予感される様相だった。
 こうしてみると、中国の溶接技術も新しいステージに上がってきたという印象があった。

   


写真1 ロボットによる立向上進溶接を実演した神戸製鋼。


写真2 北京エッセンフェアで初めてと思われる金風のFSW装置。


写真3 ファイバーレーザ切断機を出品し注目を集めていた田中。

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