2015/06/01

「鳥獣戯画」展

 上野の東京国立博物館で開催されている。国宝「鳥獣戯画」は京都・高山寺の至宝である。
 「鳥獣戯画」についてはもちろん知ってはいたが、高山寺のことはこれまで不覚にして知らなかった。
 展覧会を見て驚いた。高山寺はとんでもない古刹だったのである。展覧会には高山寺由来の名品が数多く展示されていて、ざっと数えてみたら実に国宝8点、重文18点にも上った。「鳥獣戯画」にばかり目を向けがちだが、順を追ってみていくと興味深いものだった。
 高山寺については確かなことはわからないようだが、鎌倉時代、明恵上人の開基になるものだとのこと。その明恵上人像というのが数点あって、そのうち、私には高山寺所蔵の国宝よりも、14世紀南北朝時代の1幅(久米田寺所蔵)が、頭の鉢が大きく、端然として、慈愛に満ちたやさしい目をしていたのが印象的だった。
 さて、「鳥獣戯画」である。甲乙丙丁4巻から構成されていて、各巻が長い絵巻物である。1カ月半ほどの展示期間中、前後期で展示替えがあり、5月下旬からは各巻の後半部分の展示となっていた。
 見たいのは甲巻なのだが、順路は丁、丙、 乙と甲乙丙丁を逆に進むようになっていて、動物や人物が墨でさらさらと描かれているような印象だった。ただ、各巻を通じた物語の連続性は見られなかった。
 いよいよ甲巻ということになるのだが、ここまでは順調な足取りだったものの、甲巻を前にして長蛇の列の大渋滞となっていて、待ち時間は160分だとのこと。しかし、これを見なければ「鳥獣戯画」そのもの本物を見たことにならないわけで、おとなしく並んだ。
 やっと順番がきたとはいっても急かされてゆっくり見ているような余裕はなかった。まるで垣間見た程度だったが、乙丙丁まで各巻とは違って物語性が感じられたし、擬人画としてユーモラスな場面が少なくなかった。
 「鳥獣戯画」についても確かなことはわからないらしいが、正式名を「鳥獣人物戯画」といい、奈良後期から鎌倉前期の頃のものらしいが、私には、まあ、これがあの「鳥獣戯画」かというほどのものだった。

  


写真1 展覧会会場の入口


写真2 入場券の半券


写真3 甲巻の部分(会場で販売されていた絵はがきから引用)

お勧めの書籍