2015/05/19

博物展と美術展

 先日のこと。博物展と美術展の二つを相次いで訪れる機会があった。
 一つ目は、大英博物館展が開催されていた上野の東京都美術館。この美術館はそもそも固有のコレクションは持っていなくて貸し館が専門。
 ロンドンの大英博物館には昨年も行ったし、これまでに5度ほど足を運んでいて、美術館も好きだが博物館はもっと好きという私にとっては機会あるごとに寄りたいところ。
 さすがに大英博物館のコレクションだから、展示の内容も古代エジプトの棺(紀元600年頃)からシエラレオネの儀式用仮面(1880年代末)などというものもあって、とにかく年代的にも地理的にも実に幅広い。もっともそれこそが大英博物館なのだけれども。
 日本関係としては、縄文土器(紀元前5000年頃)や柿右衛門の象(1650‐1700年)から北斎漫画(1814‐1878年)などというものまであった。
 展示品は全部で100点。じっくり見て回ったら2時間半もかかってしまった。
 そういう中で今回も気に入ったものはアウグストゥス帝の胸像(1‐40年)。アウグストゥス帝とは帝政ローマの皇帝だが、この像の人物は若く力強くも思慮深い顔をしている。
 なお、この大理石の象は250体以上も残っているのだそうで、それで、大英博物館のみならずあちこちで見かけた記憶があるものかもしれない。
 また、これほど数多くの象が残っているには理由があって、アウグストゥス帝は自らの威厳を帝国内に衆知させるために各地に像を設置させたためらしい。
 二つ目は、東京駅八重洲口近くにあるブリヂストン美術館。好きな美術館の一つで、訪れた回数なら国内の美術館で最も多いのではないか。
 その理由はコレクションが魅力的であるからに他ならない。この美術館は私設だが、自前のコレクションで成り立っている。
 もちろん全国の美術館は、貸し館専門の東京都美術館や新国立美術館などはともかくそれなりのコレクションで運営されているのだが、コレクションにボリュームがないこともあって財務上は時折の企画展に負うところが少なくないのが実情。
 そういう中で、大半の展示を自前のコレクションで見せてきたこのブリヂストン美術館はあるいは日本では珍しい方といえるかもしれないが、それほどに魅力的なコレクションだともいえる。
 この美術館が、ビル新築工事に伴って数年にわたる長期休館になるというので17日の閉館を前に駆け込むように久しぶりに見に行ったのだが、同じような考えの人が多かったらしく、10時の開館を前に長蛇の列だった。
 休館前の展示とあってコレクションから選りすぐったもののようで、印象派を中心に珠玉の作品が並んでいた。
 藤島武二「黒扇」、セザンヌ「帽子をかぶった自画像」、ピカソ「女の顔」、同「腕を組んですわるサルタンバンク」、青木繁「海の幸」、ルノワール「すわるジョルジェット・シャルバンティエ嬢」などとあって堪能できた。


写真1 大英博物館展に展示されていた「アウグストゥス帝の胸像」(会場で販売されていた絵はがきから引用)


写真2 開館を前に長蛇の列ができていたブリヂストン美術館。


写真3 ブリヂストン美術館コレクションの一つピカソ「腕を組んですわるサルタンバンク」(会場で販売されていた絵はがきから引用)

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