2015/05/14

ヴェルスの居酒屋

 このたびのオーストリア出張で、滞在先のヴェルスではカンファレンスの主催者であり、地元企業フローニアス社の連中と会食する機会があった。
 フローニアス社の連中とはここヴェルス以外でも世界各地で時々会う機会があって、そういうことでは旧交を温めたようなことだった。
 会食はフローニアスの連中が設定してくれたが、私の好みを知ってか、連れて行ってくれたのは地元料理を提供する居酒屋風のレストランだった。
 とりあえずビール。これは日本もオーストリアもサラリーマンは同じ。まずは乾杯ということに。
 さすがはビールの本場、14種類のビールが置いてあった。ビールだけのメニューがあって、それにはタイプや特徴のほか、アルコールの度数などが細かに記されている。わからなかったのはStw.という記号で、ホップの仕上げ度合いらしい。また、グラスやジョッキごとの料金も示されている。
 私は、初めに、ツィプファーという銘柄で、アルコール度数5.4%の中ジョッキを頼んだ。ドライと書いてあったが、実際、なかなかきれのあるビールでとてもおいしかった。
 ビールを頼んだ5人はそれぞれ違うものになった。そして、見ていると、2杯目に違う種類のものを頼むものと、同じものを重ねるものといるようだった。
 私は、2杯目はエーデルヴァイスといういかにもチロリアン風の名前が気に入って、アルコール分4.5%の中ジョッキを飲んだ。これは香りがよかったが、杯を重ねると厭きるかもと思われた。
 メニューには、アルコール分が2.0というものがあったが、水みたいだからやめた方がいいと教えられた。逆に、高いものでは7.1%というものもあった。
 こちらでは、食事の際、何を頼むかによらず、初めに運ばれてくるのはパンのバスケット。いかにもオーストリアらしいのはプレッツエルであろうか。円形をしていて、表面は濃い茶色でとても固い。塩味。もっと塩っぱかったのはその名もソルトスティック。
 いずれにしても塩っぱいからビールが進むし、当地の料理は肉料理魚料理を問わず全般に味が濃い。
 次に、スープ。当地ではスープを飲むのは伝統的な料理の進め方のようで、全員が頼んだ。種類も7種類ほどあってバラエティ。ヌードルが入ったものなどあったが、私は名前からして無難だろうと判断してグリーンスープを頼んだ。ただ、これは名前に似つかわしくなくクリーミーだがとても味が濃かった。
 続いてメインディッシュ。これも肉類、魚類と様々だが、魚を頼む人が多かった。海がない国なのに魚はいかがものかと思われたが、実際、魚類は海のものより湖のものの方がおいしいというので、私はマスを頼んだ。開いて焼いたもののようで、たっぷりのアーモンドが載っていた。身もさることながら皮が焼き具合がよくておいしかったが、ただ、とても量が多くて平らげるのに苦労するほどだった。
 酒は自然の成り行きでいつしかワインに変わった。赤はハンガリーに近い地方のものがよく、白は地元ヴェルス産がいいというので、もっぱら白を飲んでいたが、終わり頃になって小さめのグラスに入った酒を供された。
 シュナップスというのだそうで、とても強い酒で、聞けば、40度もあるという。アプリコットで造った酒らしい。これを数杯いただいたら酔いが回ってきた。
 話題は様々に転んだが、一つ、国際自動車カンファレンスについて印象を聞かれたので、内容のこともさることながら、欧州の自動車メーカーが共通したテーマについてオープンに追求していることに関心があったこと、一溶接企業が自動車メーカーの参加を得てカンファレンスを主催できていることにこそ感心したことなどを話したのだった。
 郷に入れば郷に従えというのが私の流儀。その国の風土と歴史と文化に触れて、地の食べ物と酒をいただくこと、そして今や古いつきあいになってきた人々との話題などと、これは至福の時間だった。

 


写真1 居酒屋の入口外観。店名はリンデと読める。


写真2 数々のビール。みんなが飲んでいるビールを並べてみた。


写真3 メインの魚料理。これはマスの仲間だが、味付けがちょっとくどかった。

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