2015/05/12

オーストリア国鉄

 このたびのオーストリア出張では、ヴェルスからはウィーンを経由して帰国した。ヴェルスからウィーンへはオーストリア国鉄を利用した。3年前には航空便もあったが、いつの間にか路線が廃止されたらしい。もっとも、鉄道好きの私にとっては望むところだが。
 ヴェルス中央駅発8時15分IC545号。始発がザルツブルグ7時12分の列車で、ウィーン西駅には10時04分の到着予定。なお、ICとは、欧州の鉄道機構共通の特急列車のことで、インター・シティのこと。
 ヴェルス中央駅は、明るい近代的な駅。2階建てで、1番線と11番12番線は1階からそのままのレベルでホームに行け、2番から10番までは2階の連絡橋を渡る。ヨーロッパの鉄道の常で、改札口というものはないから、2番線から10番線までの列車に乗る場合はそのまま直接連絡橋を渡る。なお、11番と12番線は1番線の端に切り込んでつくられたーホームで、1両あるいは2両の列車しか発着していないようだ。近郊区間列車の発着ホーム。
 列車は1番線から定刻の発車。8両編成で、1等先頭1両、残る7両が2等。6人のコンパートメントで、3人ずつの向かい合わせ。乗り込んだら、先着の若い女性が二人。
 一緒にヴェルスから乗り込んだアメリカ人がしきりに話しかけていて、一人はウィーンに行くのだと言い、大学生だという。経済学を専攻しているらしい。もう一人は次のリンツで下車した。この先もたびたび乗降があった。列車はほぼ満席らしい。少ない経験だが、欧州の列車で実はこれは珍しい。リンツを出てすぐに検札が来た。中年の男性。
 車窓の風景は、なだらかな丘陵と平原が左右に続く。まことに穏やかな風景だ。時々集落が現れて、その場合は必ず教会が見える。結構な田舎を走っているのだが、建物に田舎くささはみじんも感じられない。これは欧州でいつものことだが、なぜか。うらびれた建物など見えないのである。石造りだからであろうか。
 それにどこまで行っても下草がきれいに刈り込んであることも風景を美しくしている。日本のように草ボウボウということがない。美しく見せるために手間をかけて刈り込んでいるものであろう。
 列車はなかなかの高速。しかし揺れもほとんどないし車内は騒音もなくとても静か。先頭を機関車が引っ張る、いわゆる客車列車だが、列車の剛性が高く、窓も二重になっているからであろう。日本の電車特急のような軽量化による高速性よりも、乗り心地を優先させたもののようだ。
 ところで、ヴェルスで列車を待っていたら、ウエストラインという列車が先行していった。同じウィーン行きだが、これは私鉄。同じ線路を使っているのに料金は安いらしい。私は日本でインターネットで切符は手配していたので、当初予定通りにした。
 途中、英語読みでセイント・バレンタインという駅に停車した。日本なら相当受けるのではないか。
 そうこうして、ぴったり定刻にウィーン西駅に到着した。1番線。所要1時間19分。ヴェルスからは180キロほどの距離。途中、6つの駅に停まったし、それぞれに停車時間も2、3分だから、これはなかなか早いのではないか。
 乗客はトランクを引っ張りながら出口へと向かう。始発のザルツブルグはドイツのミュンヘンとは1時間ほどの距離。あるいはドイツから乗り継いできた乗客もいたに違いない。
 これも欧州のターミナル駅の常で、頭端式のホームがずらり並んでいる。ただ、ホームは10番線までしかなく、20本前後もあるパリやアムステルダムのターミナルに比べればやや規模は小さい。
 ウィーンには国際列車が発着するターミナルは4つあるようだが、この西駅はその名の通り西から、つまり東の端にあるウィーン目指してオーストリアを横断してきた列車が発着している。
 西駅は、東京でいえば西から上ってくる東海道線の品川駅みたいなもので、地下鉄や路面電車とも連絡していて、都心まではUバーンと呼ばれる地下鉄でわずか10分ほどのところだった。


写真1 ヴェルス中央駅。2番線から先のホームにはエスカレータで直接2階の連絡橋へと向かうことができる。


写真2 到着した列車から出口へと向かう乗客たち。


写真3 ウィーン主要ターミナルの一つウィーン西駅の外観。

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