2015/04/14

赤瀬達三『駅をデザインする』

 駅の案内サインを中心に駅のデザインを論じた本。サイン設計の第一人者によるもので、駅のサインに限ってまとめたものとしてはおそらくわが国で初めてのものと思われる。
 内容は、自ら手がけたものも含め実例が多くしかも詳細。わが国における駅サインの変遷がわかるようになっていて、それはある種わが国の駅発達史ともなっていて興味深い。
 駅デザインとは、利用者にやさしくわかりやすい駅作りのための方策のこと。このために、安全であること、楽であること、居心地がいいこと、満足度が高いことといった4つのレベルがあって、それには駅をトータルに作りあげる発想が欠かせないとしている。
 実際、駅を利用していて、わかりづらい、難儀だといった経験は少なくないし、とくに東京においてはそれが甚だしいように感じている。まあ、世界的にも過密な大都会だからといって、我慢しているのが現実だろう。
 本書を読むと、日本の駅の不親切さ、不便さはやはり際立っているようで、様々な改善策が実例で示されている。
 近年、とみに統一感が出てきて改善されたと思っている案内サインについても、改善の度合いは著しいようだが、駅全体としても整理ができていないという指摘。
 つまり、JRと私鉄が相互に乗り入れている駅にあって、JRはJRの看板を優先的に扱い、私鉄への乗り換え案内が不親切である例などを示していて同感できる。
 とくに、多くの鉄道会社が乗り入れている新宿駅や横浜駅などがひどいが、東京駅でも、JR東日本の東北新幹線等とJR東海の東海道新幹線との、あの異常なほどのセクショナリズムは眉をひそめるほど。
 こうした駅において、各社合同でサインを統一すれば随分とすっきりとし利用もしやすくなると提案していて、これは大賛成だった。
 海外の駅との比較も実例をもって示されているが、それもうなずくばかりで、過密で巨大であることだけになおさらサインに工夫が欲しいと思うのが大方の利用者であろう。
 そして、本書を読んで痛感したことは、サインもやたら多いだけで、無秩序に提示されているからかえって混乱が広まっているとしていて、結局、こうしたことは文化のレベルにもつながっているようにも読み取れて唖然としたのだった。
(ちくま新書)


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