2015/02/25

盛久ギャラリー

 盛岡の街を歩いていて小さなギャラリーを見つけた。
 街の中心に位置していて、このあたりは南部盛岡藩御新丸御殿の敷地だったらしい。もちろん盛岡城址に至近で、県庁などにもほど近い。脇を盛岡の目抜き通り大通りが抜けている。
 元々は「盛久」で親しまれてきた老舗旅館だったもので、建物の老朽化から2003年に旅館経営は休業となっていたところ、評判だった民芸建築を保存すべく2007年にギャラリーとして公開されてきている。
 訪れてみると、白壁の美しい建物で、玄関には「盛久」の看板が掲げられている。棟方志功の揮毫らしい。
 ここは普段は貸しギャララリーとして利用されているようだったが、この日は幸いなことに館蔵品展が開催されていた。入場無料。
 驚いた。コレクションがすばらしい。これが老舗旅館の実力というものか。舟越保武の彫刻とエッチングがある。高橋忠弥があり、田原田鶴子の「宮澤賢治が愛した大正盛岡情景」などとあって、いかにも地元ゆかりの作品が充実している。
 展示は、かつてのカフェ・軽食堂だったというギャラリー(50平方メートル)のほか、応接サロンに及んでいて、冒頭、小さなギャラリーと呼んだが、結構なスペースがあり中規模ギャラリーといえるようで展示は充実していた。
 このうち、応接サロンでは棟方志功の作品を中心の展示となっていた。棟方志功が逗留した際にこの部屋で作品作りに取り組んだのだそうで、1948年というから、志功初期の作品ということになる。中には「妙無法」と揮毫した扁額もあったが、絵に限らず書においても志功らしい独特の風合いが感じられた。
 全体を見て回って最も感心したのはサイン帳(金襴表紙)。1冊12面が両面でこれが2冊あり、宿泊した人たちのサインを集めたもののようで、柳宗悦、バーナード・リーチ、草野心平、山下清、今東光などとあって、いかにも老舗旅館らしいすばらしさ。
 色紙に揮毫することは珍しくはないのだろうが、このように一流の文化人が連なっているサイン帳というのも珍しい。先代の女将が発案したものらしいが、すばらしいアイディアだ。
また、館内には館主及川昭伍の陶芸作品も展示されていた。及川さんは経済企画庁総合計画局長から国民生活センター理事長などを歴任されたが、陶芸もよくしていたようで、そのできばえはすでに素人の域を超えているように思われた。


写真1 盛久ギャラリー外観。


写真2 館蔵品が展示されているギャラリー内部。


写真3 棟方志功の作品が集められている応接サロン。

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