2015/02/24

津波被害による文化財の保存修復作業

 東日本大震災の被害は住宅などばかりではなく図書館や博物館にも及び、貴重な図書や資料が大きな被害を受けた。津波で流出したもののほか、残ったものでもとくに海水による被害は淡水によるものとは比べものにならないほどの致命的なダメージを与えた。
 岩手県沿岸部の市町村でも数多くの施設が大きな被害を受けており、岩手県では文化財レスキュー事業の支援も得ながら被災文化財の救出活動が行われてきていて、これまでに50万点を超す資料が救出されている。
 これらの施設のうち、壊滅的な被害となった陸前高田市立博物館については、岩手県立博物館(盛岡市)が、文化庁が準備した被災ミュージアム再興事業を活用し仮設の施設を設置して保存修復活動を行っている。
 このために、2階建てのプレハブが専用施設として設置されており、ここで古文書などの文化財の安定化処理と修復作業が実施されている。
 この施設は一般に公開されていて、窓越しにではあるがその作業の様子も見学することができるようになっている。
 作業の大まかな流れは、不織布による保護-水道水による洗浄-次亜塩素ナトリウム水溶液による除菌-水道水による塩分除去(6日間程度浸す)-塩化物イオン濃度の測定-水道水による超音波洗浄処理-精製水による超音波洗浄処理、などとなっている。
 この後、乾燥させ、紙面の皺を伸ばしたり、破損箇所を和紙で補強したりという作業が続く。
 つまり、塩分処理が大きな比率を占めていて、これは塩分が資料の急速な劣化の原因ともなっているためで、海水被害を受けた文化財の修復作業の例も少ないようだ。
 注意力と根気のいる作業のようで、ベテランでも50ページ書籍1日5冊の修復が限界だということである。


写真1 修復作業室の模様。


写真2 注意力と根気のいる作業の様子。


写真3 岩手県立博物館全景。

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