2015/02/12

三江線、芸備線

 中国地方鉄道旅二日目。
 前夜遅く島根県江津市に入っていて2月6日金曜日、早朝6時00分発の三江線に乗車した。
 江津は、山陰本線の鳥取-下関のちょうど中間に位置し、広島県の三次と結ぶ三江線の起点。全線108.1キロ。山陰と山陽を結ぶ陰陽連絡線の一つである。
 あたりはまだ真っ暗なホームで待っていたら5時50分列車が入線してきた。3番線。1両のワンマンディーゼル。乗り込むと車内は暖かくなっていた。凍てつくような寒さではないがこれはありがたい。乗客は女子高生と二人。
 江津を出るとすぐに江の川の手前で右に大きくカーブした。この先、三江線はずうっと江の川と一緒に走って行くはず。
 三江線は不便な路線で、三次まで乗り継いでいける列車は日に3本しかないし、中間の浜原まででも5本しかない。
 6時00分発のこの列車の次の江津発は12時34分までない。それも浜原止まり。それで不思議に思うことは、高校生などどうやって通学列車として利用しているのかということ。
 1本乗り遅れてしまったら次はしばらくないわけだが、それでも、6時30分川戸で高校生が二人乗ってきたし、6時48分の石見川越で女子高生が二人乗ってきた。この時点で乗客は私のほか高校生五人。
 6時53分、夜が白々と明けてきた。曇っている。江の川が左窓に見える。つまり、列車は江の川の左岸を走っているわけだが、そう言えば、列車は江津を出てからまだ一度も江の川を渡っていない。
 大河なのだが、川は緩く蛇行していて線路もカーブが多く、列車のスピードは上がらない。対岸を車が猛スピードで通り過ぎていく。
 7時09分石見川本で高校生が全員下車した。江津行きの列車と交換となった。夜が明けた。
 「がんばろう三江線」という標語があり、三江線活性化協議会などという表示もあったから、三江線の廃線が俎上に上っているのかもしれない。
 一般に、線路は山間部でも平地を選んで敷設されているのが一般で、川と並行している場合が少なくない。一緒に並べなくなると、線路は橋で対岸に渡ったりトンネルで逃げる。車窓風景に川が多いのもこのためで、それも右に左にと位置関係を変える。
 ところがこの三江線は、どこまで行っても江の川は左にばかり見えている。これは希有な例であろう。川の流れに任せて線路が敷かれているからで、そのせいもあってか、実はこの三江線は、全線は100キロを超すが、直線にすると60キロに満たないそうである。
 8時04分石見松原で初めて私以外に一般人が乗ってきた。三人。そして川が右窓に変わった。これも初めて。
 宇都井8時19分。遙か眼下に集落が見える。ホームは谷を渡る橋に設けられており、「日本一高いところにホームがある駅」なそうである。つまり、地上からということだが、その地上からホームまでの階段の段数は実に116段にも達する。
 そうこうして江の川を長い鉄橋で渡って9時21分三次到着。江の川はここまで遡ってもまだ川幅が広い。
 三次は、広島県北部の中心都市で、三次盆地が広がっている。三次駅は三江線の起点であるほか、芸備線の中間駅である。また、福塩線も府中以北の運行ではすべて三次発着となっている。
 三次からは芸備線で広島に向かった。芸備線は新見から広島まで岡山、広島両県にまたがり中国地方の中段部を東西に結ぶ路線。全線165.5キロ。三次で新見方と広島方と運転系統が変わる。
 広島との間は幹線並みで列車本数も格段に増えている。そういうことで乗った列車も快速「みよしライナー」10時03分発。広島の通勤圏に入る下深川までは快速運転だった。玖村に至って右を流れる太田川と並行して走る。対岸は可部線のはずである。
 広島が近づくと満員になり、11時29分着。8番線。広島駅で最も外れのホームだった。
 この先、可部線を往復した後、山陽本線を下関まで向かった。大幹線だが、広島から下関まで1本で乗り通せる列車はなくて、岩国や新山口での乗り継ぎが必要だった。ただ、乗り継ぎはスムーズでほとんど連続していた。
 そう言えば、私が持っている乗車券は、広島から山陽本線は厚狭で美祢線に乗り換えるようになっているもので、一筆書きになるように工夫したためだが、下関に向かうには乗り越し精算が必要になる。
 それで、車内で乗り越し切符を購入したのだが、車掌さんが切ってくれたのは新山口-下関1,140円だった。
 新山口で次の列車に乗り継いでやれやれと思っていたら、さっきの車掌さんが追いかけてきて、さっきの精算は間違っていた、正確には乗り越しは厚狭-下関間580円だという。多くもらいすぎてしまったといい何度も詫びながら560円を返してくれた。
 実は私も気がつかなかったのだが、若い女性だったが、車掌さんが気がついて次の列車まで探しに来てくれたわけで、当然とはいえとても気持ちのいいことだった。
 本来、車掌が間違えていけないことだが、私の持っていた乗車券にも理由の一端はある。
 つまり、私の今回の旅で用意した乗車券は、券面に表示されている経由が、東海・山陽・姫新・伯備・芸備・木次線・山陰・三江・芸備・美祢・山陰・山口線と複雑で長たらしいもので、このため切符は通常のサイズには収まらず特別に大きいものとなったほど。
 だから、自動改札も通れないのだが、途中下車や車内検札のたびに職員に切符をしげしげと見られてしまう代物。珍しいからだが、同時に間違えも起きようというもの。かえって、若い女性車掌さんに負担をかけさせてしまった。
 下関17時21分着。4番線。長いアプローチの末到着した。門司行きの列車も発着してはいるが、行き止まりの終着駅の風情があり私の大好きな駅の一つ。

 


写真1 ひたすら江の川を左窓に見ながら進む三江線。


写真2 この高さは珍しいものではないが、地表からホームまでは116段の階段を登らなくてはならないというのは日本一の宇都井駅。


写真3 下関4番線ホームに到着した列車。行き止まりの終着駅の風情がある。

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