2015/02/10

姫新線、木次線

 先週は、中国地方の鉄道を3日間にわたり乗ってきた。JR線ばかりだが、その総距離は東京との往復を除き中国地方分だけでも1000キロを超した。
 鉄道の旅が好きで全国津々浦々を乗り歩いているが、これまでのところ意外に少ないのがこの中国地方。もちろん一度は全線を乗ったことはあるのだが、それでもこのたびは徹底して中国地方を乗りまくったという結果となった。
 2月5日木曜日。曇り。姫路6時56分発姫新線列車。2両のディーゼルカーワンマン運転。3番線からの発車で、姫路駅のホームの使い方が面白くて、同じホームの明石寄りを播但線が切り取るように行き止まりの1番2番ホームとし、反対側を姫新線の3番4番線ホームとして運用している。
 列車は播磨新宮行き。発車近くになって夜が明けてきた。通学の高校生で満員である。播磨新宮7時30分着。1番線。階段を登って3番線の佐用(さよ)行きに乗り継ぎ。大半の高校生が同じように乗り換えた。7時45分発車。
 姫新線は、兵庫県の姫路と岡山県の新見を結ぶ路線。中国地方の東側の中段あたりを東から西へ斜めに背骨のように貫いている。全線158.1キロ。
 なかなか不便な路線で、姫路近郊では列車本数もそれなりにあるが、全線を通す列車は1本もなく、細かく乗り継いでいかなければならない。
 播磨新宮を出て山間へと分け入った。佐用8時16分着。陰陽連絡の短絡線である智頭急行がクロスしていて、この鉄道はつい先週乗ったばかり。高校生の全員が下車した。
 8時32分発の津山行きに乗り継ぎ。列車がそれまでの2両から1両になった。もっとも、乗り継いだ乗客はたった二人だった。
 佐用の次の上月と美作土居の間が兵庫-岡山県境で、きつい登りとなっていてディーゼルが喘いでいる。駅名の冠が播磨から美作に変わった。左右両側を山々が連なる狭い平地を列車は進んでいて、川が右に左に見え隠れしている。
 東津山の手前で右から因美線が合流した。なお、因美線はすべての列車が次の津山発着である。
 その津山9時31分着。次の列車まで30分ほど待ち合わせ時間があり駅前を散策した。沿線随一の町で、盆地になっている。駅から直角にまっすぐ50メートルほど行くと川があった。吉井川で、その川向こうの小高い丘の上に城郭が望めた。津山城で、津山は城下町だったのである。一部の城郭が再建されているらしい。越後高田から松平宣富(越前家)が10万石で入封したというから、なかなか大きな城だったのだろう。
 駅もなかなか大きくて、島式ホームが2面4線ある。姫新線のほか因美線、津山線が乗り入れている。
 10時05分発新見行き。久世付近で左に大きな川が寄り添ってきた。旭川かもしれない。
 富原、刑部(おさかべ)と25‰の登坂が続き、トンネルも連続する。このあたりは姫新線の最高地点かもしれない。窓外が雪景色になった。
 新見11時44分着。姫路から約4時間50分も要したこととなり、乗り継ぎが多かったとはいえ、表定速度に直すとかなりのろい。単純計算で30キロほど。
 芸備線に乗り換え。ただし、二つ目の備中神代までは伯備線だが、すべて新見発着である。13時00分発。
 野馳-東城間が岡山、広島県境で、駅名に付けられている旧国名が備中から備後に変わった。小奴可(おぬか)付近で雪が舞ってきた。その雪が進むにつれて吹雪となってきた。
 備後落合14時24分着。ここは新見と三次を結ぶ芸備線の中間に位置し、木次線の起点でもあるが、風情は山間の小駅。実際、芸備線新見-備後落合間が1日3本、木次線もやはり1日3本の列車しかない。
 その備後落合駅で、芸備線新見行き14時34分、芸備線三次行き14時38分、木次線宍道行き14時44分と3本の列車が各方向揃った。すべての列車が1両だが、それでもこれは圧巻というべき。
 さあ、いよいよ木次線の始まりである。木次線はこの備後落合から山陰本線の宍道とを結ぶ路線。今回の旅で最も期待していた路線である。
 列車は発車するとすぐに長い急登坂にかかった。30‰が続く。乗客は私のほか50代の会社員風と二人。きちんとスーツを着て小さなカバンを持っているだけ。旅行とは思えないが、かといってこの不便な路線を使っての移動も珍しい。もっとも、かつては陰陽連絡線の一つではあったのだが。
 油木を過ぎると広島県から島根県に入った。この県境が分水嶺のはず。猛烈な吹雪となってきた。これはまずい。
 三井野原15時09分発。JR西日本最高地点駅である。ここから次の出雲坂根間のに三段スイッチバックと奥出雲おろちループが望めるはず。全国でもここでしか見られないハイライト区間である。
 ところが、スイッチバックもループも視界不良のためかすかにしか見えない。これははなはだ残念。また、出雲坂根に向けて30‰を下っているというのもよくなかった。やはりここは宍道から乗ってくるというのが楽しみ方。それなら喘ぎながら登るわけだから列車の速度も落ちる。
 出雲坂根が近づいてスイッチバックが二回続く。つまり、同じ斜面でジグザグに線路が三段になっている箇所があって、それで三段スイッチバックと呼ばれている。結局、目をこらしていてかろうじて三段分が一望できた。なお、三井野原と出雲坂根との間の高低差は実に160メートルにも及ぶ。
 この先、出雲横田、木次を経て宍道からは山陰本線江津まで進み宿を取った。出雲横田は出雲大社のような大きなしめ縄が飾られた風情ある駅舎があった。また、線区名ともなっている木次は出雲市からの通勤圏で、ここからは列車本数が大幅に増える。この駅で雪から雨となった。


写真1 姫新線の沿線風景。久世付近で。川は旭川か。


写真2 木次線の起点備後落合駅。1日数本程度の列車が発着する山間の小駅だが、手前が木次線、奥の二つが芸備線である。


写真3 木次線のハイライト区間。自分が乗っている一段目のすぐ下に二段目、林の向こうに三段目の線路が望める三段スイッチバック。

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