2015/01/23

「みちのくの仏像」展

 上野の東京国立博物館で開かれている。
 東北各地のお寺から集まった、国宝1点、重要文化財8点を含む仏像19点が展示されていた。日頃見ることの少ない仏像だけに興味深かった。
 聖観音菩薩立像(平安時代11世紀、岩手・天台寺、重要文化財)。鉈彫りという手法らしいが、ノミの彫り跡が美しい文様になっている。すっきりとした顔、整った造型は完成度は高いように思われた。
 薬師如来座像(平安時代9世紀、福島・勝常寺、国宝)。一木造。堂々たる体格で、圧倒的存在がある。お顔がまるで金属製のように黒光りしていた。彫刻では東北で初めての国宝らしい。
 伝吉祥天立像(平安時代9世紀、岩手・成島毘沙門堂、重要文化財)。美しい。優しい面立ちは吉祥天らしいのではないか。すらりとして背が高い。
 十一面観音菩薩立像(鎌倉時代14世紀、宮城・給分浜観音堂、重要文化財)。とにかく大きい。像高は3メートルもあるという。顔全体ばかりか目も口も造作が大きい。高台にあって津波の難は逃れたらしい。
 なお、薬師如来座像(平安時代貞観4年、岩手・黒石寺、重要文化財)のように、貞観、東日本と二つの大津波を乗り越えてきた仏像もあれば、薬師如来座像(平安時代9世紀、宮城・双林寺、重要文化財)のように東日本大震災で損傷し修復された仏像も展示されていて、自ずと東日本大震災との関わりに思いをいたさせるような展示だった。
 会場の解説によれば、日本に仏教が伝来したのが6世紀半ばで、東北地方への広がりは8世紀半ばだったという。征夷大将軍坂上田村麻呂の遠征などをきっかけにして仏像彫刻の技術が東北にももたらされたもののようだ。
 いずれにしても展示されていた仏像には素朴なものが多いように感じられ、この点で、奈良や京の仏像とは違った印象があった。



写真1 聖観音菩薩立像(部分、岩手・天台寺=会場で販売されていた絵はがきから引用)


写真2 伝吉祥天立像(部分、岩手・成島毘沙門堂=同)

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