2015/01/21

革新的新構造材料

 革新的新構造材料等研究開発を進めるナショナルプロジェクトの成果報告会が昨日20日、東京・内幸町のイイノホールで開催された。主催・新構造材料技術研究組合(ISMA)、共催・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)。
 プロジェクトの目的は、自動車をはじめとする輸送用機器の軽量化。とくに自動車においては車体重量の2分の1化を目指している。
 このため、アルミニウム、チタン、マグネシウム、鋼板、CFRPなど新構造材料の開発を行うこととしているほか、とくにキーとなるのがそのための接合技術の開発。
 プロジェクトは平成25年度からスタートしていて34年度を最終年度としている。また、プロジェクト推進にあたっては具体的にはNEDOを経てこのプロジェクトのために設立されたISMAが受託する形で進められている。なお、ISMAの事業費という内容で見ると、事業費は25年度約23億円、26年度約38億円となっている。
 昨日の報告会では25・26年度の成果が報告された。材料別などと分科会ごとに報告されたが、このうち、複合材料では、アルミニウム合金に匹敵する材料の開発を目標としているとし、3年後までには要素技術の開発段階を過ぎて、具体的に意匠設計ができるまでにもっていきたいと述べ、とくにCFRPと金属の接合技術の開発がポイントとなると報告していた。
 また、接合技術に関しては、接合技術分科会コーディネータである平田好則大阪大学教授が概要次のように報告していた。
 自動車につては、量産を念頭に置き、多車種の交流生産を前提にしている。
 接合方法としては、点接合と連続接合に分類され、点接合には抵抗スポット溶接、連続接合にはアーク溶接などが範疇となる。
 同種材料としての超ハイテン鋼の接合では、抵抗スポット溶接やアークスポット溶接などが研究されている。
 異種材料については、固相接合であるFSW(摩擦攪拌接合)などが研究されている。
 また、FSWについても、攪拌ツールを用いず直接材料同士を摺り合わせる摩擦攪拌リニアなどという手法も検討されている。
 概要このような報告だったが、これなら、これまでに開発されてきた接合技術の改良ばかりで、新鮮みが感じられなかった。
 それほどに接合技術の開発が難しいということだが、このプロジェクトの帰趨を制するといわれるキーテクノロジーの開発にしてはいささか弱いもののように思われ、日本が総力を挙げて取り組んでいるにしては残念だった。
 なお、この日の成果報告会では、各分科会ごとの報告とは別に、冒頭でISMAの岸輝雄理事長が挨拶を行い、岸理事長は「新しい材料が開発されると古い材料が消えていくというものではまったくなくてそのまま使われていくものだしそれが材料の特徴だ。新構造材料の開発にあたってはマルチマテリアル化の方向も念頭にあるし、計算材料科学という新しい概念の導入も必要だ」と述べていた。
 また、プロジェクト報告とは別に招待講演として「期待される未来の自動車と車体」と題し講演した菊池昇豊田中研代表取締役所長は「自動車用構造材料としては安全性がどう確保されるかが必然だ」などとして次のように述べていた。
 企業としては、量産化できるのか、一般社会で受け入れられるのかが肝要で、特殊な高級車のみを念頭に開発を進めるわけにはいかない。
 そういう意味ではマルチマテリアル化とはいうが、当面、鋼板の時代が続くのではないか。
 軽量化というが、この20年間軽量化を図ってきたが、結果的には自動車の重量は400キロも重くなった。安全性と環境を考慮すると軽量化することは重量化することとなりアイロニーにはまっている。
 材料技術の開発、接合技術の開発は要素技術としては確かに進んでいるが、実用として車両に使える技術となっていない。
 このように述べて、極めて辛口にプロジェクトの進展に期待を示していたのが印象的だった。


写真1 革新的新構造材料等研究開発成果報告会の模様。

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