2013/12/03

二つの座談会

 座談会は、雑誌や新聞が得意とする企画。あらかじめ設定されたテーマに沿って談論を進めていき、現状を整理しながら課題や展望を探るといったことに好都合である。
 とくに新年号にはこの種の企画はつきもので、当社刊行物でも各紙誌新年号では大概座談会を設定していて、11月末までに大方収録を終わった。
 このうち二つの刊行物で私が司会を務めていて、一つは週刊新聞の『溶接ニュース』紙。新年号らしく溶接界各方面のトップに勢揃いしていただいていて、2013年を振り返りながら2014年を展望した。
 席上、産業界からの出席者は異口同音に、上向きに転じつつあるが、輸出は好調なものの内需はまだまだ回復に遠く業績の向上には至っていない、2014年ははっきりと好天してくれるものと期待しているとし、自動車が引き続き堅調であるほか建築もはっきりと上向いているとしていた。
 一方、学協会関係からは、要因認証の受験者数が減少している、会員数の減少が続いているなどとした厳しい局面を指摘しているものの、溶接・接合に関連したナショナルプロジェクトがスタートするなど研究開発で活性化が見られているとの明るい話題も出ていた。
 また、出席者が一致していたのは、技術者、技能者はもちろん研究者も含めた人材育成の重要性を強調していたことで、長期の視点で取り組む必要を確認していた。
 今一つの座談会は月刊誌『溶接技術』のもので、こちらは技術雑誌だから大学や企業の研究者、技術者が出席して行われていて、溶接・接合技術の方向性に話題が集中していた。
 溶接・接合技術として圧倒的なボリュームを有するアーク溶接に関し、一層の高能率化、高品質化に対する取り組みが顕著で、「成熟した溶接技術」という見方はあくまでも視野の狭いもので相変わらずダイナミックな展開だとする見解で一致していた。
 また、自動車向け一つをとってみても、普通鋼板から高張力綱に加えこの頃ではアルミニウム合金や繊維強化プラスティックなどと材料の多様化が進み、とくに異種材料同士の組み合わせが重要となっている中で、その溶接・接合技術も大きな変化を遂げているとし、ますます溶接・接合技術の需要性が増すとともに、それだけに研究者、技術者としても楽しみが増えているという声が強かった。
 例えば、高張力綱と言っても、この頃では超高張力綱(ウルトラハイテン)の世界に突入していて、パスカルもついに1000メガを超え、今やギガハイテンの時代となっていて、その溶接・接合方法もアーク溶接よりも抵抗溶接やレーザ、FSW(摩擦攪拌溶接)に及んできているのが実情で、極めて技術開発の動向に注視する必要が欠かせない状況となってきているようだった。


写真1 『溶接ニュース』座談会の模様


写真2 『溶接技術』座談会の模様

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