2013/11/26

美術館紀行:ボストン美術館

 ボストン美術館(ミュージアム・オブ・ファイン・アーツ=通称MFA)は、ボストンの繁華街コープリー駅から地下鉄グリーンラインでわずか4つ目。その名も美術館名と同じミュージアム・オブ・ファイン・アーツ駅が最寄り駅。もっとも、この路線はこの一つ手前のノース・イースタン大学駅から地上に出ていて、駅というよりも路面電車の停留所といった趣き。美術館は駅のすぐ目の前だから見まごうこともない。
 堂々たる建物で早くも期待が高まる。土曜日の午前10時というのに開門を待つ人々で早くも長い列ができていた。私も、かねて一度は見てみたいものだと希望していたものでやっと念願がかなった。
 膨大なコレクションのあることはわかっていた。それで、すべてを見て回るのは不可能だろうし、とりあえずアメリカの近現代絵画と東洋美術は見ようと作戦を練っていた。
 この美術館の建物は、中庭やビジターセンター、カフェなどを囲んで四角い回廊のような構造になっている。展示フロアは3層(一部4層)で、大別すると南北アメリカ美術、ヨーロッパ美術、アジア・オセアニア・アフリカ美術、古代美術、現代美術の各部門に分類されて展示されている。それぞれが翼のような配置になっている。
 一見すると巡りやすいように思えていたのだが、実際に歩いてみると、とてもわかりにくい。つまり、各部門は同じフロアに集められているのではなく、複数階にまたがる縦の階層構造になっているのである。しかもこの階段のありかがわかりにくい。
 アメリカ美術などは4層に散らばっていて、それも年代別だから、見たいものがワンポイントで決まっている場合はいいが、全般を見たいものにとっては効率が極めて悪い。
 ただ、館内には数多くの案内係が配置されていて、地図を片手にうろうろしていると、すぐに近寄ってきて、サポートはいらないか、と尋ねてきてくれる。このサポートは気軽に声をかけてくれるしとても充実していた。
 それで、丁寧に館内を回っていると、そのコレクションの量と質のすごさが少しずつわかってくる。
 ともかく、展示はほとんどあらゆる分野に及んでいる。膨大なコレクションの一端がうかがえる。それも一級品ばかりと思われるほどの充実ぶりだった。
 ただ、すべての分野を網羅しようとしたのだろうが、その結果、各分野が少しずつ展示されていて、ある分野を掘り下げてみたいと思うものにとっては多少は不満が残るかもしれない。
 結局、この美術館は旅行者が半日程度で駆け足で見て回るのは不可能で、地元に住んで、美術館の年間会員になって、展示替えの都度少しずつ見ていく、そういう見方が必要なのだろうと思われた。
 さて、展示品から印象深いものをいくつか拾ってみよう。まず、東洋美術なかんずく日本美術。よくぞこれほど各年代にわたって収集してきたものだと感心させられるほどのコレクションで評判通りだ。
 ただ、これも各時代各分野にわたってはいるのだが、実際に展示に供されているのは、例えば浮世絵などは歌川国芳のものなどほんの数点のみ。仏像もしかり。ちょっと食い足りなかったというのが率直な印象。この日のハイライトは俵屋宗達の六曲一双のふすま絵だったか。
 次はいよいよアメリカ絵画。これはさすがに充実していた。一番みたいと願っていたホッパーの作品もこの日は「ドラッグストア」と「ブルックリンの部屋」の2点が展示されていたから堪能できた。コレクションとしてはもう少し点数があるようだったが、それでも2点だけでも目の当たりにできてとてもよかった。とにかくホッパーの絵画は孤独とか静けさとかが描かれていてとても印象深い。
 ほかにも、ヨーロッパ絵画もつぶさに見たのだが、こちらも、モネやルノアールといった印象派からゴッホ、ゴーギャンなどとほとんどあらゆる分野に及んでいて感心した。なかったのはフェルメールくらいではなかったか。
 中には、ゴーギャンの「我々はどこから来たのか?我々は誰なのか?我々はどこへ行こうとしているのか?」などという絵画もあった。


写真1 ボストン美術館外観


写真2 お目当ての一つ、ホッパーの「ドラッグストア」


写真3 ゴーギャンの「我々はどこから来たのか?我々は誰なのか?我々はどこへ行こうとしているのか?」 

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