2013/11/05

造船の魅力、ニッポンの底力

 日本のものづくりのすばらしさと溶接の重要さが解説されていた。
 先週末の土曜日2日夜にNHKテレビで放映されたドキュメンタリー、驚き!ニッポンの底力「大海をゆけ 巨大船誕生物語」という番組のこと。2時間の長時間番組で、戦後日本を牽引してきた造船の魅力がたっぷりと表現されていた。
 番組では、豪華客船「飛鳥?」、戦艦「大和」、南極観測船「宗谷」、巨大タンカー「出光丸」、科学掘削船「ちきゅう」などが登場していたほか、今治造船を訪ね、実際に船舶建造の様子が紹介されていた。
 今治造船は日本一の建造量を誇る世界最大級の造船所。ここではちょうど20万トンという巨大な貨物船の建造中だったが、そこではブロック工法が紹介されていた。
 ブロック工法とは、船の骨格となるいくつかのブロックをあらかじめ工場でつくっておき、それらをドックで1隻の船に組み上げていく方法のこと。建造中の船では、180個の小ブロックをまずは41個の大ブロックに組み立て、それらが組み合わせられて1隻の船になるとのこと。
 このブロック同士の組立は溶接で行われていて、この貨物船の場合、総溶接長は実に568キロにも達するという。
 また、このブロック工法は工期の短縮など造船の合理化に革新をもたらし、造船王国ニッポンを築き上げたのだが、実はこのブロック工法のルーツは戦艦大和の建造にあったとしていて、戦艦大和で培われた技術が、戦後、造船大国の礎になったと指摘していた。
 一方、21万トンを誇り1966年(昭和41年)の竣工当時は世界最大のマンモスタンカーだった出光丸については、建造に携わった技術者たちへのインタビューを交えて構成していて、技術開発に挑戦した姿が描き出されていた。
 巨大タンカーを建造するにあたっては、それまでの軟鋼ではなく強くて軽いという特徴を持つハイテン鋼(高張力鋼)を採用したのだが、ハイテン鋼は溶接が難しく、巨大タンカーへの適用も初めてとあって、溶接フラックスの開発など試行錯誤の連続だったと語っていた。
 また、溶接の実際にしても、手溶接ではスパッタやヒュームの飛散から作業環境が厳しく、このため簡易的に溶接の自動化が図られるグラビティ溶接を採用したというエピソードも披露していた。この溶接方法は溶接自動化が進んだ現在の造船所ではもはや使われていないが、当時は、高能率溶接法として造船特有のプロセスだった。
 番組ではものづくりに取り組む技術者たちの姿が映し出されていたし、NHKが総合テレビでこのような番組を放映したことは、一般社会に溶接の重要さ、難しさ、面白さが訴えられていて大変歓迎されるものだった。
(写真はすべてテレビ番組から引用した)


写真1 今治造船ドックサイトの様子。


写真2 ブロック建造の模様。


写真3 グラビティ溶接の様子。

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