2013/09/12

岬めぐり:地蔵崎

 地蔵崎は島根半島の東端に位置する。この半島は、西は出雲の日御碕から発し、日本海に横たわるように東に伸びている。ここは島根県に位置しているのだが、ここを訪れるには松江から中海を回り込むように進むのではなく、鳥取県側から弓ヶ浜半島を北上し境港から向かうのが一般的。
 そういうことでこのたびは9月7日土曜日、米子から地蔵崎を目指した。
 米子からはまずは境線で弓ヶ浜半島を北上し境港へ。境港は、日本海側で名だたる漁港であり、山陰最大の貿易港でもある。
 行き止まりの終着駅の改札口を出ると目の前は境水道。美保湾と中海を結んでおり、なるほど水道と呼ぶにふさわしくまるで川のようであり、対岸までわずか数百メートルあるかどうか。手前境港は鳥取県だが、対岸は島根県である。
ここからは自動車で岬へ向かった。すぐに境水道をまたぐ境水道大橋を渡った。延長709メートルの連続トラス橋である。なかなかどっしりした立派な橋梁である。
 島根半島に入り東へ走ると、ほどなく美保関の漁港があり、ここから坂道を登ると地蔵崎だった。境港からわずか15分ほど。
 岬上には美保関灯台があった。白い石造りの灯台でなかなか風情がある。ずんぐりしているから、すらりとした日御碕灯台のような美しさはないが、灯塔の壁面の石組みが美しくしゃれた味わいがある。
 1898年(明治31年)の初点灯で、山陰最古。世界灯台100選、日本の灯台50選に選ばれており、灯台としては初めて登録有形文化財に指定されている。近代産業遺産にも指定されている。座標は灯台の位置で北緯35度34分03秒、東経133度19分31秒である。なお、岬としての最先端は別にあるようだが、道が開けていなくて地上から到達することはかなわないらしい。
 この日は残念ながら雨模様で、はなはだ視界がよろしくない。眼前の日本海が鉛色にさざ波だっている。なぜ日本海は季候が悪いと鉛色になるのだろうか。晴れていれば日本海でも青い海が見られるのに。この岬を訪れるのは2度目で、初めて来たときには快晴の日本海が紺碧にまぶしいほどだった。
 灯台の位置は絶壁になっており、足元を激浪が襲っている。このあたりはリアス式海岸なのだが、やはり視界がきかなので詳しくはわからない。
 この灯台の情緒を盛り上げているのは、かつての灯台職員の宿舎(吏員退息所というらしい)や石塀、倉庫なども一体となって残っているからであろう。灯塔と同じ白堊の石造りだし、この部分の施設は現在はビュッフェとして活用されている。なお、灯台は海の記念日など特定の日以外には公開されていない。
 ビュッフェからは日本海が一望にでき、晴れていればさぞかしすばらしいことだったろうと想像された。
 灯台の魅力はもとよりその眺望にあるのだが、この日は雨が降っていて視界が悪かったものの、それでも灯台の持つ独特の情緒を薄めることはなく、ロマンティックな気持ちにしてくれるすばらしい灯台だった。
 灯台からの帰途は、岬の付け根にあたる美保関港に立ち寄った。小さな漁港だが、かつては北前船の寄港地でもあったという。美保神社があり、その門前に青石畳通りという路地があったが、その名の通り青畳の石を敷いていてなかなか風情のあるものだった。その通りの入り口には門があって、帰りにくぐろうとしたら「だんだん」と4つの提灯がぶら下がっていた。だんだんとはこの地方で言うありがとうの意なそうである。


写真1 灯台への取り付け道路から遠望した美保関灯台。


写真2 白堊の石造が美しい美保関灯台。


写真3 灯台のみならず宿舎などが一体となって残っていて情緒がある。

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