2013/07/26

札沼線と留萌本線

 札沼線と留萌本線を乗り継いで増毛を目指す。
 実は、このルートはそっくりそのまま昨年の2月にたどっていたものだが、ただ、その折りには、大寒波の襲来による猛吹雪と大雪に阻まれ途中不通区間が続出するなどして、代行タクシーによってやっと増毛に到達していたようなことだった。それで、このたび同じルートを再挑戦したというわけ。
 札幌7時00分発札沼線石狩当別行き。札幌駅10番線からの発車で、ディーゼルカーの6両編成。なかなか大きな編成だが、これは近年札幌通勤圏として沿線の宅地化が進んでいるから。
 実際、乗っている下り列車は高校生がちらほらする程度でがらがらだが、すれ違う上り列車は満員の様子。
 札沼線は、桑園(列車はすべて札幌発着)から、石狩平野の北端にあたる新十津川を結ぶ路線で全線76.5キロ。沿線には複数の大学が設置されているらしく、学園都市線という愛称がつけられている。
 あいの里教育大などと進み石狩太美に至って広大な石狩平野の中央部となってきた。このあたりは田園地帯の様相で、稲作が目立って多い。これは畑作が多い十勝や富良野などとは決定的に違った風景である。
 石狩当別7時38分着。この列車の終点で、新十津川行きに乗り継ぐ。次の北海道医療大学までが電化区間で、ここで運転系統が変わる。
 次は1両のディーゼルカーワンマン運転で、7時45分の発車。そういえば、昨年はこの先が大雪のため運転続行不能となり、ここで引き返したのだった。
 この先は札沼線も極端に列車本数が減少し、新十津川まで向かう列車は日にわずか3本しかない。
 石狩月形8時19分着。途中から乗ってきた高校生たちはここで全員下車した。高校生が降りたら車内はがらんとした。残ったのはわずかに3人。そのうちの一人の人が言うにはいつもせいぜい一人か二人だと。また、駅員が言うにもゼロの時すらあると苦笑い。
 発車は8時40分で、随分と長い待ち合わせ時間だなと思って駅員に尋ねたら、列車交換のできる場所は新十津川までの間ここしかないのだという。
 月形を出てすぐ右に広大な敷地に多くの建物が見えたが、これが月形の刑務所であろう。ここは開拓時代月形監獄として知られたところ。
 途中、浦臼で二人が下車したら残ったのは結局私一人になってしまった。
 新十津川が近づいたら沿線は見渡す限りの田んぼとなった。北海道の稲作の中心で、この頃は北海道産の米もうまいと評判がよく、大規模農業が発達しているようだ。
 新十津川9時28分定刻到着。出迎えてくれたのは可愛い駅員さんで、いずれも2歳になるという男の子と女の子。母親がついていて親子でそろいの黄色いティーシャツを着ている。歓迎の挨拶を書いた手製のはがきも手渡してくれた。
 列車が着くたびに(といっても日に3度だが)迎えに出ているようで、温かい歓迎ぶりに大感激だった。また、駅構内外は色とりどりの花がいっぱいでとても美しかった。
 ところで、この新十津川は、石狩川を挟んで対岸とは最も接近したところ。それでここからはタクシーで函館本線の滝川に向かった。なるほどとても近くて、わずか10分ほど、メーターで1170円の距離だった。
 滝川からはとりあえず函館本線で深川まで向かい、ここでいよいよ留萌本線に乗り換え。
 深川11時08分発。2両連結されているが、客扱いしているのは前方の1両だけで、後方の残る1両はくっついているだけ。留萌本線は深川から留萌を経て増毛とを結ぶ路線で、全線66.8キロ。
 15分ほどで石狩沼田。ここは先ほど乗ってきた札沼線が、かつてはここまで伸びていたもので、それでこの路線名がある。それが石狩沼田‐中徳富(現新十津川)間が1972年に廃止され現在に至っている。
 留萌12時04分着。12時19分発に乗り継ぐのだが、ホームで見ていると、やはり予想した通り、前1両がそのまま増毛行きとなり、後ろ1両が深川行きとなって引き返す車両運用だった。留萌からは海岸沿いの路線で、快晴のもと真っ青な日本海が波もなく穏やかで美しい。
 増毛12時45分着。この駅で降り立つのはこれが3度目。初めはちょうど10年前の2003年7月17日で、この時はJR全線完乗達成の瞬間で、全線踏破に向けてこの留萌本線が最後の1線となっていて格別の感慨を持って降り立ったのだった。
 2度目が昨年の2月で、この時は札沼線同様に猛吹雪のため列車運行不能となり、留萌からは代行タクシーで増毛まで連れて行ってもらったのだった。それもすぐに折り返したし、だから、増毛駅に降り立ったといっても列車で来たのではないから今一つ盛り上がりに欠けていて、いずれ再訪問しようと考えていたのだった。
 そして3度目の今回。ホームのたたずまいなど何も変わっていなかった。無人駅で、片側1線の短いホームがあり、古びた駅舎がある。駅舎の中にはそば屋のカウンターはあったが営業休止中だった。変わって地元物産品の売店が営業していた。昨年訪れた折りにはなかったものだった。
 駅前の様子は少しだけ変わっていた。映画『駅ステーション』で風待食堂として使われた雑貨屋が観光案内所となっていた。また、その向かいにあって映画では増毛ホテルとなっていた日本通運の営業所ビルが取り壊され駐車場になっていた。

 


写真1 札沼線の終着駅新十津川駅で出迎えてくれた可愛い赤ちゃんたち


写真2 留萌本線の行き止まりの終着駅増毛駅(中央は筆者)


写真3 映画『駅ステーション』の舞台となった増毛駅前の風待食堂

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