2013/07/17

青野由利『宇宙はこう考えられている』

 深淵なる宇宙。それはそれで深遠なるまままでいいような気もするが、宇宙ってどうなっているのかということも気にはなること。子どものころとくに男子ならば一度は天文学にあこがれをもったはずで、宇宙への興味はいつまで経っても薄れない。
しかし、歳をとるほどにこちらの頭は理系から文系へと変わっていって、難しいことにはついて行けないのが実情。だから、宇宙についてのやさしい解説がありがたいこの頃。
 それで、これまでも村山斉『宇宙は何でできているのか』などと読んできているのだが、科学ジャーナリストの執筆というからよりやさしいはずと思い本書を手に取ったという次第。
 本書を読んですとんと腑に落ちたことは、宇宙論も素粒子物理学も突き詰めていけば宇宙の誕生に行き着くということ。つまり、宇宙の果てはどうなっているのかとどんどん遠くへ突き詰めていくことと、物質は何でできているのかとどんどん細かく突き詰めていくことと、どうやら行き着き先は同じらしいということ。しかも、宇宙論と素粒子物理学は行き着く先が同じように見えて実はこの二つの学問はお互いに仲が悪いのだということもあるようでこれは面白かった。
 科学の進歩によって解明されてきた宇宙の謎。最近の話題はヒッグス粒子の発見。
 ヒッグス粒子とは、物質をどんどん細かくしていった先にあるものと考えられてきた素粒子で、「万物に質量を与えた素粒子」ということ。昨年発見され(たらしいとし)て話題になったことは記憶に新しい。
 宇宙は137億年前にビッグバンによって誕生したというようなことは今やわれわれ一般人でも知っていること。
 で、ビッグバンにおいてばらばらだったものが今日の宇宙のようなものにまとめる役割を果たしたのがヒッグス粒子だということ。しかも、このヒッグス粒子は物質を単に細かく突き進めていった先にあるクォークなどのような素粒子ではなくて、第3の素粒子だということ。とまあ、本書によればそういうことらしい。
 そして、宇宙の誕生から137億年になるということなどとともに、今や多くの解説本で紹介されていることだが、ここで改めて整理すると、宇宙はビッグバンのあとも今日も膨張を続けているということ、どうやら宇宙は平べったい形をしているらしいということ、宇宙は何でできているかというと全体の4%が物質できていることはわかっているものの、残る96%が暗黒物資や暗黒エネルギーなどというものでその詳しい実態はわかっていないということ。
 しかも、われわれの銀河系のような銀河が1000億個も集まって銀河団となり、その銀河団が宇宙には数百万個も存在するのだということ。
 そして、そういうとてつもない宇宙はハッブル宇宙望遠鏡やすばる望遠鏡などによって次々と解明が進められていること。ヒッグス粒子もCERNと呼ばれるスイスにある大型加速器で発見されたということ。
深遠なる宇宙の解明が進むこと。そのことが科学の進歩によってもたらされていること。そういうことなどが本書ではやさしく解説してくれていて、本書を読むほどに宇宙はますます深遠となるし、魅力いっぱいに夢を育むもののようにも思われたのだった。
(ちくまプリマー新書)


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