2013/07/09

岬めぐり:室戸岬

 先日の四国一周旅行では室戸岬にも立ち寄った。
 6月28日。室戸岬には徳島からJR牟岐線、阿佐海岸鉄道と乗り継ぎ、終点甲浦では駅前から高知東部交通のバスで向かった。
 室戸岬は、紀伊水道と土佐湾を隔てるように大きく太平洋に鋭く突き出た岬で、同じ高知県の岬としては西に位置する足摺岬としばしば対置され、人気を二分する。
 バスは甲浦駅前9時58分定刻発車。紀伊水道を南下するようにひたすら国道55号線を海岸沿いに走る。ここいら辺まで来ると紀伊水道というよりも太平洋そのものといった方が似つかわしいように思うが、途中、海岸には岩礁が続き、波が砕け散っている。まさしく大海原で、見晴るかすように太平洋が広がっている。
 甲浦駅前を発車したバスは乗客が5人。このうち2人はすぐに下車してしまい、バスは安芸行きだったのだが残った3人はいずれも室戸岬で降りた。一人は徳島からずうっと一緒だった軽装の中年男性で、もう一人は遍路姿の中年男性だった。
 バスは、発車してまもなく地元の人が下車してからはまったく乗降する者がなく、ノンストップで室戸岬10時48分着。これも定刻の到着だった。甲浦駅から約50分。40キロほどの道のりか。
 この日は早朝に徳島を出てからずうっと雨で、この分では岬めぐりもつらいなと覚悟していたのだったが、岬のバス停に降り立ったら雨はやんでいた。ここでも晴れ男の面目躍如といったところだろう。
 私は室戸岬のバス停からまずは室戸岬測候所を目指した。ただ、ここからはきつい登りが続くので、バス停の目の前にあった室戸ジオパークインフォメーションセンターというところでタクシーを呼んでもらった。
 ただし、測候所は5年前に無人化されてからは閉鎖されているとのこと。私は構わずタクシーを乗りつけたのだが、幸い、この日は気象庁の職員が設備点検のためとかで駐在していた。
 そこで、無理をお願いして測候所の屋上に登らせてもらった。実は、私はこの測候所(現在は気象庁室戸岬特別地域気象観測所)を訪ねるのはこれが3回目で、室戸岬から太平洋を眺望するにはこの屋上からが最上の眺めと知っていたのである。前回訪れたのは17年前だったが当時は測候所には常勤の職員がいて一般人の見学も歓迎されていた。
 この日は生憎と雨上がりの曇り空でくっきりとした眺望ではないものの、ぐるり遮るものとてない360度の展望が開けていた。
 この室戸岬は台風銀座みたいなところで強風で知られるが、子どものころ、まだテレビがなかった時代、気象情報はラジオで聞いていた。その放送の中では必ず室戸岬が登場し「室戸岬では西寄りの風風力3」などとやっていた記憶があり、室戸岬測候所というものへの愛着がいまだ強いのである。
この測候所のあたりは海面から200メートルほどの高さであろうか。ここから先は岬めぐりも下りになり、森閑とした道を一人のんびりと歩いて行った。
 ほどなく最御崎寺。四国24番札所である。なかなか立派なお寺で、古刹然としたたたずまいが感じられた。数人のお遍路さんがお参りしていて、私のような単なる旅行者というものはほかにいなかった。
 お遍路さんの中に、来る途中バスで一緒だった方がいらして少しだけお話をした。春に20ヵ寺ばかりは片付けていて、今回は2週間の予定で残りをすべて巡るのだということだった。50前後のがっしりした体格で、とくに屈託があるようには思われなかった。
 さて、このお寺のすぐ下が室戸岬灯台であった。
 鉄造の灯台で、白く塗装されている。太くずんぐりした円筒形をしていて、はなはだたくましく感じられた。光達距離の26.5海里(約49キロ)は日本一なそうである。灯台の位置で座標は北緯33度14分50秒、東経134度10分32秒。なお、鉄造の灯台は珍しく、日本最北端宗谷岬は角形の鉄造だった。
 灯火は海面から約154メートルの位置にあるということだったが、灯台からは両手を広げて余るほど約240度もの眺望で、ひたすら太平洋が大きく見えた。ただ、この岬は大きすぎて、木が生い茂っているし、断崖絶壁の様子も感じられなかった。


 


写真1 岬の最も高いところにある室戸岬気象観測所


写真2 岬に山中に抱かれるようにあった最御崎寺


写真3 全国でも有数の規模を誇る室戸岬灯台

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