2013/06/13

二つの全国溶接コンクール

 今週は二つの全国溶接コンクールの表彰式が相次いで開催された。
 二つとは、一つはもとより全国溶接コンクール(全国溶接技術競技会=日本溶接協会主催)で、もう一つが全国軽金属溶接コンクール(全国軽金属溶接技術競技会=軽金属溶接協会主催)のこと。なお、全国規模の溶接コンクールとしてはほかにボイラー溶接士溶接技能競技全国大会(ボイラ・クレーン安全協会主催)がある。
 全国軽金属溶接コンクールの表彰式は一昨日11日東京ガーデンパレスで開催された。
 この大会は今年が38回目。アルミニウム溶接の腕自慢が競う大会で、第1種ティグ溶接固定菅、第2種ミグ溶接中板、第3種ティグ溶接中板の3種目があり、今年は全国の会員企業から選抜された45人が出場した。
 アルミ溶接は各種材料の溶接の中でも難溶接の最たるものの一つで、ビード(ある種の溶接金属)形成に精密さが要求され、とくに電流調整と運棒にはアルミ溶接独特の技能が必要で、また、溶接金属中にブローホール(ある種の気泡)などの欠陥が発生しやすく高度の技能が求められる。
 この日の表彰式で審査講評を述べた審査委員長の大久保通則日大教授は、「入賞者の平均点は100点満点換算で第1種88点、第2種97点、第3種97点となって、とくに第2種第3種ではすばらしい高得点だった」と評価した。
 つまり、難溶接といわれてきたアルミの溶接でも、卓越した溶接士にかかれば課題の克服も可能だという証左だろう。
 一方、全国溶接コンクールの表彰式は昨日12日、東京ガーデンパレスで挙行された。
 全国の溶接コンクールの頂点に立つ大会で、今年が58回目。 全国47都道府県の予選を勝ち抜いてきた精鋭によって競われるもので、被覆アーク溶接の部と炭酸ガスアーク溶接の部の2種目があり、競技課題はともに薄板の立向溶接と中板の横向き溶接。特別枠を除き1種目に1県1名の代表が原則で、今回は各種目に56人ずつ計112人が出場した。
 表彰式では各種目の最優秀賞入賞者に経産大臣賞が授与されたほか、席上、審査委員長の西尾一政九工大名誉教授から審査講評が述べられたが、それによると、被覆アーク溶接の最優秀賞は800点満点中797点という驚異的高得点で、これは最近18年間の最高得点だったとしている。減点はわずかに3点ということになるが、それはX線試験の結果だったと述べている。また、入賞者で100点満点換算で95点以上が10人にも上っていて、順位に差が付いたのは外観の表ビード、裏ビードの波形だったという。
 一方、炭酸ガス溶接では95点以上の入賞者がやはり10人だったとし、被覆アーク溶接ともども上位は僅差だったとしていた。また、順位に差が付いたのは表ビードの波形とビード高さにあったとしている。
 全国溶接コンクールの最優秀賞者は名実ともに「溶接日本一」というべきもので、全国の溶接士の頂点に立つ。
 二つの全国溶接コンクールはそれぞれ歴史も規模も違うし、アルミの溶接に限定された大会と、すべての溶接士を対象に技能を競う全国溶接コンクールとは位置づけに違いはあるものの、ともに切磋琢磨して技能の向上を目指そうという志は一緒。
 二つのコンクールには当社も協賛をさせてもらっていて、それぞれの表彰式で私から産報賞を贈呈させてもらったが、席上、列席しながら次のような感慨を持ったのだった。
 つまり、溶接のコンクールは歴史的にも民間主導で実施されてきているが、このこと自体が希少な例なのだが、それでもこれほどコンクール熱の高い技能職種も珍しいほどで、これこそが日本のものづくりを支えているといえるし、近年、全国的な広がりを見せてきている高校生による溶接コンクールもあわせて、大変心強い歩みだとも思われたのだった。


写真1 全国溶接コンクールの最優秀賞者。写真は左から被覆アーク溶接森裕一氏、炭酸ガスアーク溶接大澤文宏氏


写真2 全国軽金属溶接コンクールの優勝者。写真は左から第1種水野裕介、第2種田中寿和、第3種中井隆善の各氏

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