2013/06/11

BRTで気仙沼へ

 三陸沿岸南部から宮城県地方の東日本大震災復興状況。2日目はBRTで気仙沼を訪れた。
 仙台から気仙沼へ直行するにはおそらく現状では一ノ関まで新幹線を使い、大船渡線に乗り換えるのが最速。一ノ関からの全区間が山間部の路線であり、震災の影響はほとんどなかった。また、終着駅気仙沼を除き岩手県内を走っている路線でもある。
 しかし、このたびは気仙沼そのものに向かうこともさることながら宮城県内沿線の復興状況を見ながら鉄道事情を調べるのが目的。
 それで、東北本線を小牛田で乗り換え石巻線の前谷地を経由しながら気仙沼へ向かうこととした。気仙沼線はこの前谷地が起点で気仙沼までの全線72.8キロの路線。
 この路線も沿岸部がほぼ壊滅していて、鉄道が通じているのは前谷地から柳津までの6駅17.5キロだけ。残る55.3キロの不通区間にはBRTが運行されている。なお、JR東日本では、この部分をBRT線と呼んでいて、停留所もあえて駅とそのまま呼称している。
 BRTとは、バス専用道を利用したバス高速輸送システムのこと。BRT化にあたり、できうる限り専用道の確保が図られており、この場合、従来の鉄道線路の軌道からレールを引きはがし、路盤を再舗装してバス専用道に転換する仕組み。
 柳津駅に降り立つと、駅前に停留所が設置され、すでにBRTバスが待機していた。なお、このバスは真新しいもので、ハイブリッドバスと表示してあった。
 BRTの駅(停留所)は、基本的に鉄道駅と同じ配置。駅舎や線路が流出したようなところでは、駅に最も近そうな国道筋にBRT駅が設置されていた。
 柳津を出発して陸前戸倉で海岸に出た。このあたりから津波被害の大きかったところ。沿線では、壊滅した町が次々と続く。ほとんどはがれき処理は終わっているものの、新しい町づくりというにはほど遠い状況で、土地のかさ上げや新しい区画に沿った道路工事がやっと始まったというところ。また、高台移転ものであろう、あちこちの丘や山を削る工事が行われていた。
 海岸を走っていた鉄道は完璧というほどに破壊され流出していたし、所々では無残な鉄道施設が転がっていた。
 途中、志津川に停車したが、ここは南三陸町の中心。鉄道の駅自体は施設としてはなくなったものの、BRTの駅舎が新しく設けられていた。駅舎というよりはちょっとましな停留所程度だが、待合室もあり乗車券販売の窓口も設置されていたし、ホームも設けられていた。
 駅周辺はかつての鉄道駅同様に同地区における復興支援のセンター的存在となっている様子だった。
 BRTバスは、所々で専用道に入る。専用道の入口には遮断機の付いたゲートがあって、信号機も設置されている。また、専用道は単線だから、所々に行き違いのために拡幅されたところがある。
 柳津から気仙沼までBRT線は19駅。鉄道線時代には18駅だったのだが、ベイサイドアリーナという駅が一つ追加されていた。
 この間、駅間の数としては当然のことながら18。一部分を専用道に乗り入れただけの区間も含めると専用道を走っているのは9区間だった。区間数としては約半数ということになるが、距離数で見たら全体の4割弱程度ではないか。つまり過半数は一般道を利用していることになる。
 それでもさすがに専用道は渋滞もないし一直線に走れてバス路線として快適である。時々一般道と路面交差しているところがあるわけだが、鉄道時代の名残なのか、BRT優先の扱いのように思われた。また、一般の路線バスのように停留所の数も多くはないから、その点でも運行はスムーズである。
 だから、一般道も利用しながらというものの、BRTバスのダイヤは実に正確で、通過するほとんどの駅で定刻であった。終点の気仙沼駅にはBRT全線の運行状況を表示したモニターがあるのだが、これを見ていたら大半が定刻運行の表示となっていた。
 結局、気仙沼までは柳津から1時間59分で、これが何とぴったり定刻通りの到着だった。2時間前後のバス路線で定刻通りの運行というのも見事なもので、これこそBRTの特徴といってよいものだった。しかも、この所要時間は鉄道時代とまったく変わりないもので、これにも感心したことだった。
 BRT化はJRとしてはあくまでも応急措置という位置づけ。しかし、BRT化が行われたせいで、交通手段としてはいち早く復活したわけだが、逆にそのためにこの間の鉄道としての復旧工事はまったく着されていないように見受けられた。
 つまり、BRT化が固定されそうな様相だったわけだが、これには当然賛否両論がある。一方にはあくまでも鉄道復活を望む声があり、他方にはBRTで十分だという声があって、簡単には片付かない様子だ。

 


写真1 柳津駅前で発車を待つBRTバス車両


写真2 気仙沼線BRT志津川駅。ホームも付いた駅舎がある。駅舎には待合室や乗車券出札窓口があった。


写真3 一直線に伸びるBRTバス専用道。

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