2013/05/29

前田みねりヴァイオリン・リサイタル

 先週末土曜日25日、サントリーホールで開かれた前田みねりヴァイオリン・リサイタル。縁あってチケットが手に入ったので出掛けた。
 前田みねりさんのことはこれまでまったく知ることがなかったのだが、新進気鋭のバイオリニストだということである。それにしても、サントリーホールのブルーローズ(小ホール)が満員というほどの盛況だったから実力者なのだろうし、演奏を聴いていると、新進というよりは中堅の貫禄が感じられた。
 この日のリサイタルでは、小曲を数曲のほか、プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第2番と、ヴィヴァルディの二つのヴァイオリンのための協奏曲「調和の霊感」やサラサーテのナヴァラが演奏された。ピアノ澤田智子。
 ヴァイオリンはコンチェルトはそれでも年に1度くらいはコンサートホールで聴く機会があるが、リサイタルというとピアノはたびたびなものの、ヴァイオリンというのは随分と久しぶり。天満敦子さんを聴いて以来だから数年ぶりか。
 そもそも音楽にはまったくの門外漢だし、それもヴァイオリンの演奏会の経験は少なくて耳慣れてもいない。だから、隣にいた家内からも黙って口を閉じていろと注意をされてはいたのだが、目にしたこと耳にしたこと口にしたことを黙っているということができない性分。
 それで、恥を覚悟で感じたことを一つ二つ。
 リサイタルの前半に演奏されたプロコフィエフの作品は、この日のリサイタルで最も力を入れた演目だったのだろうが、ちょっとかたかった印象があった。
 もっともそれは曲自体のせいかもしれない。曲想がわかりにくかったし、印象的なメロディや思わず口ずさみたくなるようなフレーズもなかった。ただ、第4楽章の激しさには驚いた。相当に専門的な曲目だったのだろう。それもリサイタルだから当然のことだろうが。
 リサイタルの後半に恩師小森谷巧氏を迎えて演奏されたヴィヴァルディの作品は、いかにもヴィヴァルディらしい伸びやかさがあったし、師弟のハーモニーもぴったりですばらしい演奏だった。
 また、同じく二人で演奏したナヴァラは、いかにもヴァイオリン曲を多数手がけたサラサーテの曲らしい手だれたフィット感が感じられた。また、スペイン人の曲らしいにぎやかさもあった。
 結局、生意気なことをいうようだが、前田さんの演奏はとてもきまじめで好感が持てたのだが、天満さんのようなのはともかくとしても、もう少し奔放さがあってもよかったようにも思われた。
 ところで、家内はいささかピアノをたしなむのだが、その彼女が言うには「ヴァイオリンはやはり女王だね」と。なるほど。で、ここからは私の感想だが、ヴァイオリンは繊細で流麗、時に激しく、独奏楽器として一つの物語を演じきれるのだろう。

 


写真1 演奏直前のコンサートホールの模様

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