2013/05/15

溶接の顔:姜承官氏

 姜承官氏は、韓国溶接工業協同組合(KWIC)の専務理事。IIW認定国際溶接技術者の資格を有するエンジニアで、民間企業の出身。歴代の専務理事に官僚系が多い中では異色の経歴だが、姜さんが専務理事に就任してからKWICは大きく発展しているから実績は豊富。とにかくエネルギッシュで、事業意欲旺盛、人柄もよく、韓国溶接業界のブルドーザーみたいな存在。55歳。日本語と英語に堪能。私とは10数年来のおつきあいで、とても親しくさせてもらっている。
 KWICは、韓国溶接業界を代表する業界団体。1978年の設立で、現在の理事長は10代目の崔基甲氏。
 韓国における溶接に関する業界団体はその構成や発展過程は日本とはやや異なっていて、KWICはその名称が示す通り、当初は溶接機を中心とする中小メーカーの組合だったが、設立当時、韓国溶接業界には他に業界団体がなかったこともあって、今日に至るもKWICが中心的存在となっている。現在、韓国には学術団体としての大韓溶接学会、それに近年設立された韓国溶接接合協会があるが、実質的なリーダーシップはスポンサー的存在でもあるKWICにあるようだ。
 KWICの近年の発展は実にめざましい。もとより韓国溶接工業の成長を背景としたものだが、会員数もこの数年来でほぼ倍増の107社にまで増加していて、構成企業も従来からの溶接機のみならず溶接材料など広範囲にわたっている。
 KWICはまたウエルディングコリア(韓国国際ウエルディングショー)の主催者であり、韓国における溶接技術の普及と向上に大きな役割を担っている。これまでに隔年に開催されて15回の開催を数えており、とくにここ数回は開催するたびに過去最大と規模の拡大を繰り返してきているほどの発展ぶり。当初は日本メーカーがリードしていたが、ここ数回は欧米メーカーの進出が著しく、国際色の濃いものとなっている。
 姜さんと私は少なくとも1年に1度は往来しており、先日も姜さんは崔理事長ともども当社を来訪して下さった。
 その際、姜さん曰く。「ここ数年来韓国市場への日本からの進出が弱くなった」と。日本の強いのは溶接ロボットくらいなもので、溶接機はフローニアスやリンカーンなど欧米メーカーが積極的だとも。
 「かつては日本の技術を学んで韓国は発展してきたが、ここ10年ほどは日本から入ってくる技術情報が著しく減った。それにこれは溶接に限ったことではないが、第2外国語に日本語を選択する学生が減って中国語へシフトしてきていて、日本語のできる人が相対的に減少している」とも。もっとも、このことは日本に学ぶことが減った結果かも知れないのだけれども……
 そして、韓国溶接業界の課題は溶接技術者の育成にあるとも姜さんは語る。つまり、「これまでの教育訓練は技能者向けが中心で、これからは技術者教育が急務なのだ」と。
 韓国の溶接士数は約30万人。このうち13万人が登録者で、残る17万人はフリーランサーだといい、これに対する溶接技術者は約900人に過ぎないのだという。日本における溶接技術者と溶接士の割合を勘案しても確かにこれは少ない。
 で、その対策の一環としてKWICでは現在230億ウォンの巨費を投じて尉山に溶接研修センターの建設に着手したところだということである。これには国、市、産業界を挙げての支援があったようで、2年後の完成を目指している。
 また、研究支援や産業支援も今後は実施してきたいというから姜さんの夢はますます大きく膨らむばかりだ。



写真1 姜承官氏


写真2 ウエルディングコリアの模様(2012年昌原市で)

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