2013/05/09

岬めぐり:犬吠埼


 犬吠埼(いぬぼうさき)は、利根川の河口近く、千葉県銚子市にある、太平洋に突き出た関東最東端の岬である。海岸段丘でできた岬の突端には犬吠埼灯台がある。座標は灯台の位置で北緯35度42分28秒、東経140度52分07秒。
 岬が好きで、日本全図のようなスケールの大きな地図に載っている程度の岬はその大半を踏破しているが、その岬好きから見ても犬吠埼は魅力が大きい。
 また、東京から数時間程度の距離というのも足を運びやすくしており、私もこれまでに4度訪ねたことがある。初めて行ったのはもう30数年も前になるが、その後も大晦日に訪れたりしていて、ことしも2月10日に訪ねたばかり。
 犬吠埼には銚子駅から銚子電鉄で向かう。JR銚子駅の2番線3番線ホームの端っこが銚子電鉄のホームとなっており、銚子終点の特急電車を降り立つと、そのホーム前方に2両編成の電車が停車していた。
 相当にくたびれた車両で、銘板を見ると、京王帝都電鉄サハ2575 (旧車号)伊予鉄道クハ852とあり、30年以上にもなるか、あちこちで使い回されてきたものらしい。以前来たときには50年も使われてきたようなクラシックな車両も走っていた。
 9時40分の発車で、乗客は5割ほど。休日だったせいか大半が観光客で、地元の人は1割にも満たないようだった。慢性赤字が続いていて、自力存続を断念したというニュースが伝えられている。私は600円の1日乗車券を購入して乗り込んだ。
 15分ほどで犬吠着。犬吠埼への最寄り駅で、乗客の大半はここで降りた。しかし、せっかくならひとつ先の終点外川まで乗った方がよい。この外川は私鉄ローカル線の終着駅の風情を色濃く残すすばらしさがあり、年代物の駅舎が迎えてくれる。
 折り返して犬吠で下車。犬吠埼まではここから徒歩10分のところ。岬周辺にはホテルやみやげもの屋が数軒あってにぎやか。人気の観光地なのである。とくに、元日の日の出は本州で最初に拝めることで知られている。
 岬の突端には犬吠埼灯台がある。白堊ですらりと背の高い灯台で、私の知る限り全国の灯台の中でも屈指の姿のよい美しい灯台である。高さは灯火まで地上から27メートル、水面上からなら52メートルにもなる。つまり、25メートルの断崖の上に立っていることになる。
 全国でも数少ない参観灯台のひとつで、200円の参観料を払えば灯台に登らしてくれる。らせん状の階段が99段あり、さらに13段の鉄製の階段を上ると灯塔の上部に到達する。
 灯台に登るといつでもそうだが、あまりの眺望のすばらしさに感動が広がる。眼前には太平洋の大海原が広がっている。潮騒が足元に届き、左手に名勝君ヶ浜の砂浜、右に岩礁が伸びている。
 いつまでも飽かず眺めていたいところだが周辺も散策してみよう。
 主な灯台には、灯台名標の看板が設置されているから、それで灯台の概要を知ることができる。それによると、この灯台はイギリス人技師ブラントンの設計により明治7年(1874年)完成したとある。
 実は、岬は灯台からの眺めももちろんすばらしいのだが、周辺をうろうろして岬の形状を観察するのも楽しいものである。
 屏風ヶ浦側から岬を遠望すると、岬はごつごつした岩となっており、灯台はその先端に屹立していることがわかる。
 また、岬の後背数キロのところに地球の丸く見える丘展望館というのがあって、ここからの眺めもすばらしい。なにしろ視界360度のうち330度までの眺望が広がる大パノラマとなっていて、ここから水平線を見ればそれこそ地球が丸く見えるのである。


写真1 犬吠埼全景(1989年11月4日撮影)


写真2 犬吠埼灯台正面(2013年2月10日撮影)


写真3 銚子電鉄の電車(2007年12月31日撮影)

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