2013/05/01
このたびのゴールデンウィーク前半は京都に旅行した。
京都へは少ないときでも1年に1度は訪れているし、同行者の意向もあって、あれもこれもではなく、せいぜいあれとこれとくらいにしようということにして、のんびりとした旅を楽しんだ。
だから、2泊3日の旅だったのだが、見物先も、それぞれに行きたいところをあらかじめ出しあって、日頃見ることの少ないところを中心に選んだ。
幸い、事前の参観申請が必要で、抽選倍率も高いという京都御所と桂離宮も運良く見学することができた。いずれも初めてなのである。
京都御所は、広大な京都御苑の中に高い塀に守られて往時の姿をとどめていた。
もとより、明治まで歴代の天皇が住んでいた宮殿だが、御所の正門である建礼門や正殿である紫宸殿などと、これまで物語の世界でしか知ることのなかった歴史的建造物を間近に見ることができて面白かった。
また、桂離宮は、現在に至るもわが国で最も有名な庭園であろうが、これも名にし負うすばらしさだった。
とにかく、400年もの長い間受け継がれ、今に至るもよく手入れされた美しさは驚嘆するほどで、あまり庭園について知識のないものでも感服するほどだったし、ちょうど満開だったのか、真っ赤に咲き誇るキリシマが見事だった。
京都御所も桂離宮も事前予約が必要だし、1度に入場できる人数も20人程度に制限されているようで、修学旅行生たちの姿も見えないから静謐な環境の中で見学できるのがよかった。しかも、係員が同道して説明してくれるので理解が深まって楽しいものだった。
滞在中の1日は大原を散策した。大原は京都の北東に位置する。中心の四条河原町からバスで約1時間ほどの道のり。古来奇人隠棲の地といわれているようだが、今に至るも相当に山深い。
ここでは寂光院が目当て。大原といえば三千院が人気だが、寂光院はさらに奥深いし、ここまでは登ってくる人も少ないようで、大原のバス停からゆっくり歩いて約20分。里山の風情が楽しめた。
寂光院は驚くほど質素で小さなたたずまいだった。建礼門院が平家滅亡語隠棲した尼寺である。本尊は木造地蔵菩薩立像。
本堂は2000年放火によって焼失していて、その際、本尊も焼損した。その後、本堂は新本尊とともに2005年に再建された。
また、この本堂よりも少し離れた高台に新しい建物があって、そこに旧本尊が安置されていた。
実は、こうしたいきさつについてはうかつにもまったく前知識がなかったのだが、収蔵庫に安置されている仏像を見て言葉を失った。
初め、何のことかとっさにはわからなかった。像高が256センチもある大きな仏像なのだが、これが真っ黒に焼けている。何か不気味が感じがする。
そのうち、これが焼損した仏像だと気づき震えてきた。本堂が焼失する大火にあっても仏様は耐え生き抜いてきたのだと思うと、涙が止まらなかった。仏像を見て感動したのは正直この時がはじめてのことだった。
他に、京都では滞在中、東寺なども見学したが、大半の時間は東山界隈をはじめ散策に費やしていて、京町家を改造したカフェや、路地の奥のしゃれたイタリアンレストランなどと散策の途中で見つけたりするのも楽しいものだった。
写真1 静謐さが印象深い寂光院
写真2 キリシマが鮮やかな桂離宮
写真3 白川が流れる祇園のたたずまい
A5判
314頁
ISBN:978-4-88318-560-3
価格:2,640円(本体価格:2,400円)
A4
138
ISBN978-4-88318-063-9
価格:2,200円(本体価格:2,000円)
溶接学会 溶接法研究委員会
B5判
258頁
ISBN:978-4-88318-060-8
価格:13,200円(本体価格:12,000円)