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ガス切断編

ガス切断編
 はじめに
 熱切断の代表的なものにガス切断、プラズマ切断、レーザ切断があり、ガス切断は、100年以上もの歴史があり、現在でも鉄(炭素鋼)の切断に一般的に用いられ、特に、厚板の切断に効力を発揮する。ここでは、切断作業の基本となっているガス切断の、基礎原理、機器構成、作業及び保安について簡単に特徴を解説していく。
 各熱切断の軟鋼切断板厚比較
 図1に各熱切断の軟鋼切断板厚範囲について概略を示すが、ガス切断は4〜3000ミリ、プラズマ切断は2〜60ミリ、レーザ切断は1〜32ミリ程度で、軟鋼切断においてはガス切断が最大3千ミリ程度まで切断可能で、最も切断板厚範囲が広い。


図1

 各熱切断の基礎原理
 ガス切断
 鉄と酸素の化学反応熱を利用した切断方法。実際のガス切断は、図2に示すように、切断火口から噴出する予熱炎で鋼材の切断開始部を発火温度まで加熱し、そこへ切断酸素気流を噴きつけ、鋼材中の鉄分を燃焼させて、その熱で鋼材を溶融させると同時に、切断気流によりスラグを吹飛ばすことによって切断を行う。


図2

 プラズマ切断
 プラズマアークの電気エネルギーを利用した切断方法。実際のプラズマ切断は、電極の周辺からノズルへ向かってガスを流し、そのガスに電気を流すとプラズマ気流になる。プラズマ気流は、ノズルにより収束されエネルギー密度が高められ、切断材を溶融させると同時に、プラズマ気流によりスラグを吹飛ばすことによって切断を行う。
 レーザ切断
 レーザの光エネルギーを利用した切断方法。実際のレーザ切断は、レーザ光をレンズで集光し、切断材を蒸発および溶融させると同時に、アシストガスによりスラグを吹飛ばすことによって切断を行う。
 ガス切断の機器構成
 切断に必要な代表的な機器構成を次ぎに示す。
 火口
 板厚、予熱に使用する燃料ガス、要求品質、用途等により選定。
 吹管
 火口、吹管の冷却の有無(使用環境)等により選定。
 ホース
 調整器から吹管までのガス供給に用い、使用するガス量等により選定。
 逆火防止器
 一般的にガスの逆流を防止する逆止弁、ガスの供給を遮断する遮断弁、逆火時の火炎を消炎する消炎素子を有し、高圧ガス保安法では、アセチレンによる溶接および切断作業時の、逆火防止器の使用が義務づけられている。
 調整器
 ボンベ内のガス圧力を減圧し、作業に適切な圧力に調整し、使用するガスの種類、使用圧力および流量等により選定。
 ガス
 酸素および燃料ガスで、燃料ガスは、用途やガス供給の事情等により選定。
 ガスボンベ
 使用するガスが、高圧で収められている容器で、ガスの種類により色や形状等が違う。
 ガス切断作業
 切断可能な材料
 ▽一般的な切断=鉄、低合金鋼、チタン合金など▽特殊な切断(パウダー切断)=ステンレス鋼、鋳鉄、特殊鋼など。
 切断の勘所
 切断が上手くいかない場合の対処例を示す。
 ▽切断面上部の溶け=切断速度を速くする、切断酸素量を減らす、予熱ガス量を減らす、火口高さを低くする▽切断面の方向性=火口の掃除・交換▽切断面のエグレ=切断速度を遅くする、切断酸素量を減らす、切断酸素圧力を低くする、火口高さを低くする▽切断面が粗い=切断速度を遅くする、切断酸素量を減らす、切断酸素圧力を高くする、火口高さを低くする、火口の掃除および交換、切断機の振動確認▽切断面のノッチ=切断速度を速くする、切断酸素量を減らす、予熱ガス量を増やす▽硬いスラグの付着=切断速度を遅くする、切断酸素量の適正化、予熱ガス量を減らす、火口高さの適正化、火口の掃除・交換、切断材の表面の清掃、切断材の冷却、酸素純度の確認。
 長所・短所
 ▽長所=50ミリを超える鉄の良質切断▽短所=切断速度が遅い、熱変形が大きい、鉄以外は切断不可(パウダー切断は除く)。
 ガス切断の保安
 火災
 周囲の可燃物の除去、不可の場合は防炎シート。
 爆発
 適正作業および手順、逆火防止器等の安全器取付け。
 火傷、粉塵、遮光、騒音
 皮手袋、防塵マスク、保護眼鏡、耳栓等の適正な保護具の装着。
 おわりに
 ガス切断の特徴をよく理解し、切断材や状況に応じて、適した機器を使用することが、作業の保安を確保する為に、絶対条件であり、実際に切断に接するような時に、参考になれば幸いである。

小池酸素工業 技術部長代理/古城昭
出典:【溶接ニュース06年4月18日】

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