Q&A溶接入門講座

溶接ロボットの基礎知識 第3回

入門教室/Q&A

溶接ロボットの基礎知識 第3回

鉄骨溶接ロボットシステムに関する基礎知識

 
Q1 鉄骨溶接ロボットシステムとはどのような種類がありますか?
 
A1

ロボット溶接システムで対象となる鉄骨の構成部材を区分すると下記の種類があります。

➀コラム溶接システム
・コラム単体を数個冶具で連結し,連続して溶接するシステムです(写真1)。


写真1 コラム溶接システム

➁柱大組溶接システム
・柱溶接はもちろん,コラム,仕口の溶接も行えるシステムです(写真2)。


写真2 柱大組溶接システム

➂梁溶接システム
・梁の4面に付けられるリブ,補強板,ブラケット類を溶接するシステムです(写真3)。


写真3 梁溶接システム

➃仕口溶接システム
・仕口のフランジ面(表,裏),ウェブ面を自動で反転し,回転させて溶接するシステムです(写真4)。


写真4 仕口溶接システム

また,溶接工法・装置構成として下記の種類があります。溶接効率は?に比べて,?・?が高くなります。

➀シングル溶接
・1本のトーチで溶接を行います。梁・仕口溶接ではロングタイプトーチで行います。

➁タンデム溶接
・1台のロボットで2本のトーチを用い,1本の溶接線の溶接を2本のトーチで同時に行います(写真5,図1)。


写真5 タンデム溶接


図1 タンデム溶接イメージ図

➂ツインロボット溶接
・2台のロボットで2本の溶接線の溶接を同時に行います(写真6)。


写真6 ツインロボット溶接

 
Q2 操作方法について教えて下さい。ティーチングは必要ですか?
 
A2

ティーチング作業(溶接ロボットへ溶接動作をオペレータが教示する作業)は基本的に不要です。

操作方法は,各鉄骨溶接ロボットシステムに付属しているパソコンに対して,下記の構成部材形状と開先形状を入力することにより,ロボット溶接が開始されます。部材・開先の寸法バラツキはロボットのセンサが自動検出し,規格に合った高品質な溶接を行います。

1)鉄骨の構成部材の形状入力
・コラム溶接の入力例(図2)


図2 コラム溶接の形状入力例

・梁溶接の入力例(図3)


図3 梁溶接の形状入力例

・柱大組溶接の入力例(図4)


図4 柱大組溶接の形状入力例

2)溶接部の開先形状(板厚・開先角度・ルートギャップ等,寸法)入力
・コラム溶接の開先形状入力例(図5)


図5 コラム溶接の開先形状入力例

 
Q3 このシステムを操作するのに資格は必要ですか?
 
A3

 労働安全衛生規則第36条に基づく“産業用ロボット特別教育終了証書”が必要であり,当社ではロボットスクール(2〜4日間コース)を開催しており,受講者には証書を授与しています。

 
Q4 安全上の注意点,留意する事柄はどんなところでしょうか?
 
A4

 溶接システムの稼動中に可動範囲(ロボットの動作範囲と鉄骨ワーク回転範囲を含む装置全体)に人間が入らないように安全柵の設置が必要です。鉄骨ワークの搬入・搬出,チップの交換等で可動範囲に入って作業が必要な場合は,入口に設けられた安全プラグを抜いて入ります。安全プラグを抜くことにより電源が遮断されますので,可動範囲内で安全に作業を行うことができます。

また,装置の故障を未然に防ぐために,お客様での日常点検を行い,メーカーへの定期保守点検を依頼して下さい。

 
Q5 代表的なワークを人手と比較すると,どれ位効率が上がりますか?
 
A5

 ロボットはセットされたワークと回転同期を取りながら連続的に運転するため,手溶接に比べ溶接時間が短縮されます(図6)。さらに,ロボットが溶接中は人手を介さないので他のロボットを同時に稼働させることができるため,実際の効率は大変上がり,かつ,品質的に安定した製品を生産できます。


図6 人手とロボットとの溶接時間比較例

 
Q6 鉄骨ロボットの型式認証とはどんなものですか?
 
A6

鉄骨溶接ロボットには「建築鉄骨溶接ロボット型式認証委員会」による認証制度があります。型式認証は委員会による溶接部の各種検査(強度試験・超音波試験・断面マクロ等)に合格すると認証されます。対象鉄骨製品の例としては,角型・丸型コラムの溶接,SRC造・横向溶接・立向溶接の継手形状(T・平継手),タブ種類(スチール・代替)などがあります。認証を受けたロボットシステムでの施工は入熱・パス間温度管理が遵守された施工だと認められます。また,AWロボット溶接オペレータ検定受験には型式認証を受けた鉄骨溶接ロボットの使用が必要となります。

 

木戸 信明
コマツエンジニアリング(株)技術開発部
出典:【溶接技術2006年3月号】 

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