フレッシュマン講座

クレーン編2011

 クレーン
 一般的に重量物をつり上げ、移動させる機械装置をクレーンと呼ぶが、法規でクレーンとは「荷を動力を用いてつり上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置で、移動式クレーンおよびデリック以外のもの」と定められている。
 したがって、法規上では荷のつり上げのみを行なう機械装置や荷のつり上げを人力で行い、水平移動を動力で行なってもクレーンには含まれない。反対に、荷のつり上げを動力で行い水平移動を人力で行なっても、クレーンに含まれる。
 移動式クレーンとは原動機を内蔵し、かつ不特定の場所に移動することができるクレーンをいい、トラッククレーンやクローラークレーンなどがある。デリックは荷を動力を用いてつり上げることを目的とする機械装置であって、マストまたはブームを有し原動機を別置し、ワイヤーロープにより操作されるものをいう。
 クレーンには、用途に適するように色々な構造・形状のものがあり、
 ◇一般的に工場などの建屋の両側の壁に沿って設けられたレール上を走行する天井クレーン(写真1)

 写真1 天井クレーン

 ◇ジブを有するクレーンで天井クレーンに次いで多く使用されているジブクレーン
 ◇天井クレーンの両端に脚を設け地上に敷いた走行レール上を走行する橋形クレーン
 ◇ばら積船からばら物を陸揚げするアンローダ
 ◇ダム工事などに用いられ2つの塔間に渡したロープ上をトロリが横行するケーブルクレーン
 ◇一本の走行レールを巻上機が移動するテルハ(=モノレール、写真2)

 写真2 テルハ(モノレール)

 ◇直立したガイドフレームに沿って上下するフォークなどを持つもので倉庫などの棚への荷の出し入れに使用されるスタッカークレーン──などに分類されている。
 原動機、減速装置、巻上装置、制御装置などを一体にまとめた機械装置の総称をホイストと呼び、横行装置がついたものをクレーンのトロリとして用いる。ロードチェーン(荷鎖)をシーブで巻き取り荷をつり上げる電気チェーンブロック(写真3)と、ワイヤーロープをドラムで巻き取るワイヤーホイストがある。

 写真3 電気チェーンブロック

 ホイストを使用したホイスト式天井クレーン、テルハ、ポスト型ジブクレーン、ウォール型ジグクレーン(写真4)は、ペンダントスイッチ操作で運転が容易にでき安全を重視した設計になっているので、あらゆる工場における機械や部品、材料(原料)の搬送、機械の組み立てや分解など広範囲に使用されている。

 写真4 ウォール型ジグクレーン

 クレーンを運転するには、つり上げ荷重の大きさと運転操作方法により、運転者の必要な資格が異なる。
 つり上げ荷重5トン未満のクレーンを運転する場合はクレーン運転特別教育修了者、つり上げ荷重5トン以上のクレーンで床上で運転し運転者が荷の移動とともに移動する方式の運転は床上操作式クレーン運転技能講習修了者、5トン以上のクレーンで床上で運転し運転者がクレーンの走行とともに移動する方式の運転(床上操作式クレーンを除く)は床上運転式クレーン限定免許所持者、全てのクレーンを運転するにはクレーン運転士免許所持者が業務につくことができる。
 ただし、どの資格を所持していても移動式クレーンおよびデリックの運転はできない。また、つり上げ荷重0・5トン未満のクレーンについては、法規の適用範囲外につき資格が必要ない。
 つり上げ荷重とは、つり上げようとする荷の質量ではなく、そのクレーンの構造と材料に応じて負荷させることができる最大の荷重をいい、フックなどつり具の質量が含まれている。つり上げ荷重は1台のクレーンに1つと限られている。
 定格荷重は、クレーンのある状態において実際にフックなどにかけることができる最大の荷重をいう。通常、定格荷重はクレーンの本体(ガーダ部)や巻上機本体、フックブロックなどに表示されている荷重である。ただ、ジブクレーンなどではジブの傾斜角に応じて定格荷重が変わるものもある。
 
 玉掛
 荷をクレーンなどのフックでつり上げるために、玉掛用具を使用して行なう準備、フックへの荷掛け、荷はずしなどの一連の作業を玉掛作業という。
 玉掛用具には、荷の質量、形状、材質などにより、ワイヤーロープ、チェーンスリング(写真5)、繊維スリング、シャックルクランプなどが用いられる。
 チェーンスリングはワイヤーロープに比べて耐熱、耐食性に優れており、また形くずれしにくいなどの利点があるため、その特性を生かし高熱物の玉掛や特殊な玉掛に用いられることが多い。
 繊維スリングは、帯状になったベルトスリングと筒状のラウンドスリングがあり、どちらもワイヤーロープやチェーンスリングに比べ軽くて扱いやすく、また荷を傷つけないため屋内外を問わず広く用いられている。

 写真5 チェーンスリング

 玉掛作業にも資格が必要で、玉掛する荷の質量ではなく、つり上げるクレーンのつり上げ荷重によって資格が定められている。
 つり上げ荷重1トン未満は玉掛特別教育、つり上げ荷重1トン以上は玉掛技能講習の修了者でなければ玉掛の業務はできない。ただし、つり上げ荷重0・5トン未満のクレーンで荷をつり上げる場合は、法規の適用範囲外につき資格は必要ない。
 また、クレーンや移動式クレーンの資格を有しても玉掛業務はできない。
 
 クレーンの最近の傾向
 従来、クレーンは手で持てない重量物を移動させるために使用していたが、近年労働環境の改善が叫ばれるなかで、重量物の取り扱いや繰り返し作業による腰痛対策、急速に進む老齢化対策、あらゆる職場への女性の進出、省力化対策など簡単に取り付けができ、軽い力で操作できる手動走行型の軽レールクレーン(写真6)や柱に取り付けるジブクレーンなどを使い、手で持てるものも積極的にクレーンを使用するようになり、小容量(500キロ未満)のクレーンの設置が増えている。
 クレーンは作業環境の改善や省力化に寄与しており、これからもますます発展すると思われる。

 写真6 軽レールクレーン

 象印チェンブロック/営業部長 川村和己

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