フレッシュマン講座

研削といし編2011

 研削といしは、加工物を研削したり切断したりする機械工具の一種で、次の三要素(図1)から構成される。

 図1 といしの3要素

 ▽と粒(グレーン)=加工物を削る刃物 ▽結合剤(ボンド)=刃物を保持するホルダー▽気孔(ポアー)=切屑を取り除いたり、研削中の熱を発散させたりする為のすき間
 研削といしの特徴は、
 ▽と粒は常に加工物より硬い(焼入鋼や超硬バイトなどが自由に削れる)
 ▽使用中に刃先の減っ たと粒はたえず新しい刃を出すが、それが駄目になると脱落し次の新しいと粒が出る(この現象を「自生作用」という)
 ▽切り込みが小さいので加工物の仕上り状態が綺麗である
 ▽刃先が無数にあり研削速度が速いので、研削が小さいわりに能率が上る
 ▽切削加工と異なり加工中の熱は大部分が加工物に吸収されるので、機械研削では多量の研削油剤を必要とする──などがある。
 研削といしには非常に多くの種類があり、研削方法には「自由研削」と「機械研削」がある。研削方法の違いで、研削盤(グラインダ=図2)の種類に応じて研削といしの形状、寸法及び最高使用周速度が異なり、さらに加工物の材質や研削条件によって仕様(と粒、粒度、結合度など)が多岐にわたる。

 図2 グラインダ

 このため、一見して研削といしの種類や性質が分かるように、研削といしの表示方法が定められている。この表示方法は国際的にはISO規格で、国内的には研削盤等構造規格及びJIS規格により統一されている。
 形状(図3)=研削といしの形状には、平形、オフセット形、ストレートカップ形等の種類があり、それぞれ研削に使用できる使用面が決まっている。

 図3 研削といしの形状

 寸法=研削といしの寸法は、外径×厚さ×孔径(いずれもミリ)の順序で表示される。
 と粒=「と粒」は大きく分けてアルミナ質系と炭化ケイ素質系があり、アルミナ質系は一般鉄鋼・工具鋼などの金属用に適し、炭化ケイ素質系はアルミニウム・真鍮・銅などの非鉄金属に適している。
 粒度=「と粒」の大きさを「粒度」と言い、研削面の仕上げ精度により選定される。「粒度」は数値で表し、その数値が小さいほど粗く、粗い「と粒」を使った研削といしほど強度は弱くなる。
 結合度=研削といしの硬さを「結合度」といい、アルファベットで表しAに近いほど軟らかくなる。一般に硬い加工物には軟らかめの研削といしを、軟らかい加工物には硬めの研削といしを用いる。
 組織=研削といしの全容積中にしめる「と粒」の容積比を「と粒率」といい、この大小で組織の粗密を表す。
 結合剤=「と粒」と「」と粒」を結びつけているものを「結合剤」という。主な種類としてビトリファイド(記号=V)、レジノイド(記号=B)、繊維補強付レジノイド(記号=BF)、ゴム(記号=R)、シリケート(記号=S)、マグネシア(記号=Mg)、シェラック(記号=E)がある。
 ビトリファイド研削といしは、広範囲の研削作業に用いられて最も安定した性質を持っており、主に機械研削に使用されている。
 レジノイド研削といしは、各種の人造樹脂を用いるが代表的なものは、フェノール樹脂(ベークライトなど)で自由研削・粗研削に多く使用されてきたが、最近では次第に機械研削の分野でも用いられている。
 レジノイド補強研削といしは、ガラス繊維等をレジノイド研削といし中に入れたもので、回転及び側圧に強く、切断といしやオフセット研削といしがこの代表的なものである。
 ゴム研削といしは、研削油剤に対してはレジノイドより安定しているが、薄物の切断といしが多いので保管が悪いと歪みを生ずることがある。
 シリケート研削といしは、材料が水ガラスなので研削油剤や水に溶け劣化することがある。
 マグネシア研削といしは、一種のセメントが結合剤で一般に耐水性が劣り保管中に湿気を帯びたもの、梅雨期を越えたものなどは強度が低下しているものがあり、注意が必要である。
 シェラック研削といしは、天然樹脂なのであまり強度が期待できず低速のラップ仕上げ用にのみ使用される。研削といしの安全度は安全性を確保するため、最高使用周速度や衝撃値などの基準が設けられている。また平衡度や耐水性にも注意が必要である。
 最高使用周速度=最高使用周速度は安全上絶対守らなければならないもので、研削といしが安全に使用できる最高限度の周速度の事をいい、1秒あたりのメートル(m/s)で表示される。
 衝撃値=補強入りオフセットといしは、主として側面を使用するので回転試験のほかに側面に対する衝撃試験を行い、その衝撃値で規制されている。
 平衡度(バランス)=平衡度の不良な研削といしは振動、片減り(平衡度の軽い側が早く減る)を起こし、加工物の仕上げ精度が悪くなるだけでなく、極端な場合は研削といしが破壊することがある。
 耐水性=機械研削用のレジノイド研削といしは、ほとんどが湿式研削なので必ず研削油剤を使用している。
 研削といしの理想的な研削状態を「正常形」と言うのに対し、研削といしの減りが早過ぎて加工物が削れなくなった状態を「目こぼれ形」、切屑が気孔中に詰まって加工物が削れない状態を「目づまり形」、摩耗した「と粒」が表面に並び加工物が削れなくなる状態を「目つぶれ形」という(図4)

 図4 研削といしの研削状況

 これらのトラブルを防止するには、▽作業に適応した研削といしを使用する▽適切なドレッシングをおこなう▽無理な作業(研削圧力、過大切込など)を行なわないこと──が必要である。
 研削といしの取り扱いに際し「研削といしの取替えまたは取替え時の試運転の業務」は、厚生労働省令により「危険又は有害な業務」に指定されている(労働安全衛生規則第三十六条)
 事業者は労働者を厚生労働省令で定める「危険又は有害な業務」に就かせる時は、当該業務に関する「特別の教育」(労働安全衛生法第五十九条第三項)を行った上で、十分な知識及び技能を有すると認めた者、いわゆる有資格者を研削といしの取り替えまたは取り替え時の試運転の業務に就かせる必要がある。
 自由研削用といしの取替えまたは取替え時の試運転業務に係る「特別教育」は「安全衛生特別教育規定」により学科教育を4時間以上、実技教育を2時間以上を行うことが定められている。
 参考文献としては中央労働災害防止協会発行の「改訂グラインダ安全必携」(研削といしの取替え・試運転関係特別教育用テキスト)がある。

 日本レヂボン/営業本部業務部 河瀬 浩志

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