フレッシュマン講座

非破壊検査編2011

 ◆非破壊検査とは
 非破壊検査技術とは、物を壊すことなく非破壊で対象物に入っているキズや内部の様子などを調べる技術である。物を壊して調べる破壊試験の場合、対象物を継続して使用することは不可能であるが、非破壊検査では検査結果が健全であればそのまま使用を継続することができる。
 ◆非破壊検査の適用分野
 重要なプラントである原子力・火力発電所、石油精製、石油化学、ガスなどのプラントはもちろんのこと鉄道車両、飛行機、船、ロケットなどの輸送機器、橋、道路、ビルなどの社会資本、さらに鋼板や種々の工業製品を対象に非常に多くの分野で使われている。安全性、健全性が確保される必要のあるあらゆる構造物、製品、材料に必ず適用されていると言っても過言ではない。
 ◆非破壊検査の目的及び役割
 非破壊検査を適用する目的はケースバイケースで多様であるが、大きく次のように分類される。
 ▽新しく製造された構造物、製品などに製造過程で思わぬキズが発生していないか、また製品の品質が決められたレベルを満足しているかを調べる目的で非破壊検査が使われており、品質管理の手段の一つと言える。
 ▽一定期間の使用あるいは運転後の検査では、使用中にキズが発生していないか、またそのキズにより構造物、製品が破壊に至ることがないかを調べる目的で使われている。構造物、製品の破壊による大規模な事故を防ぎ、安全を確保する手段として非破壊検査の役割は重大である。
 ◆非破壊検査の種類
 品質の高い非破壊検査を実施するためには、その目的と対象物に合った方法を適用することが必要である。そのため、非破壊検査手法としては多くの種類が考えられ使われている。図1に基本的な非破壊検査技術の分類と略号を示す。また、図1に示す技術以外にも多くの手法があり、さらに多様化する傾向にある。

 図1 非破壊試験技術の分類

 ◆非破壊検査の使い分け
 非破壊検査技術はそれぞれ特性が異なる。一例としてキズの検出について言えばキズの位置(表面か内部か)、形状(円形か線状か)、あるいは対象物の材質などにより、それぞれ適する方法が異なる。この様子を図2に模式的に示す。したがって非破壊検査を適用するときは、目的とするキズなどを予め明確にした上で、最適な方法を選択し最適な条件で適用する必要がある。

 図2 非破壊試験方法の使い分け

 ◆必要な資格
 非破壊検査を現場で実施するに当たっては、それを行う技術者は資格を保有することが必要である。基本的な資格としては、JIS Z 2305(2001)「非破壊試験?技術者の資格及び認証」に基づき、日本非破壊検査協会が実施している資格認定が挙げられる。春期と秋期に行われる試験に合格し、登録することで資格を保有することができる。
 表1にJIS Z 2305(2001)により認定されている基本的資格の種類を示す。2010年4月現在、資格登録されている資格者数はレベル1、2、および3を総合計して延べ7万5671人にのぼっている。その中でもレベル2が5万3842人と最も多く、レベル2資格者が現場業務の中心となっている。

 表1 資格認証の非破壊試験方法

 また、JIS Z 2305以外では、鉄筋圧接部の超音波探傷試験、鉄骨溶接部の検査など、対象物に特化した資格もあり、現場においてこれらの資格が要求されるケースもある。
  ◆JIS Z 2305に基づく資格取得の手続き
 日本非破壊検査協会では、JIS Z 2305による認定試験を春季と秋期の年2回実施している。これを受験するには、一次試験日程の約2ヵ月前に受験申請する必要があり、このときJIS Z 2305に定められた事前訓練を受けたことを証明する訓練時間証明を添えて、申し込まなければならない。
 レベル1およびレベル2の新規試験では、筆記の一次試験と実技の二次試験が課せられる。一次試験に合格した者が二次試験を受験でき、二次試験に合格すれば最終的に合格となる。二次試験に合格し、一定の経験月数を満たすことで資格登録が可能となる。
 新規試験の最終合格率は、レベル1が50%前後、レベル2では30%前後となっている。一次試験の対策としては、日本非破壊検査協会発行のテキスト類をよく読んで学習することが必要である。また、二次試験のためには課せられる実技の練習を繰り返し行う必要がある。
 ◆非破壊検査の実施上の重要事項
 現場において実施した非破壊検査の結果が信頼されるものであるためには、実施する技術者の技量、使用する装置の性能、および実施手順を明確に記述した手順書のいずれもが重要な事項となる。
 したがって、これらの事項が十分管理されたものでなければならない。特に非破壊検査技術は、実施する技術者が自らの力量の範囲で判断する要素も多く、技術者の知識、経験など総合的な技量が非常に重要である。
 また、手順書は実施する技術者が異なっても同じ結果が得られるために、実施上の重要ポイントを確実に網羅して作成し、実施者の共通認識として確立させておかなければならない。
 ◆非破壊検査技術者としての重要事項
 最初に資格を取得することが必要である。現在の国内の状況では、まず資格試験に合格することが現場実務を行う上での必須条件となる。
 資格取得後は、現場実務をマスターしなければならない。このためにはOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)などにより、信頼できる指導者の下で正しい技術の伝承を受けることが重要である。
 さらに手法の異なるそれぞれの非破壊検査技術に習熟するとともに、それを適用する対象物について、材料、製造方法、使用方法および発生するキズなどの知識を深めていくことも肝要である。
 このようなたゆまぬ努力を継続するには、非破壊検査技術者として自らが行う業務が高い社会貢献度を有するものであることをよく認識し、仕事に誇りと使命感を見出すことが原動力になると思われる。

 非破壊検査/技術本部検査技術センター 向井一弘

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