フレッシュマン講座

ろう付編2010

 Q ろう付とはどのような接合技術ですか
 A アーク溶接やスポット溶接と違い、母材の融点よりかなり低い融点の溶加材(銀ろうなど)を溶かし、それを母材のすき間に流し込むことによって接合する技術です。

 Q アーク溶接やスポット溶接に比べてどのような特徴がありますか
 A (1)母材がほとんど溶けないので、変形の少ない精密なろう付接合ができる
 (2)ろうは「ぬれ」により狭いすき間に入るので、複雑な形状で、多くの接合部があっても同時に接合できる
 (3)ろうの種類が多様なため、異種金属や非金属(セラミックスなど)の接合が比較的容易にできるなどが挙げられます。

 Q ろう付はどのようなところに適用されていますか
 A 自動車、二輪車、自転車などの部品をはじめ、冷蔵庫やエアコンなどの冷媒配管関係、さらにはメガネ、装飾品など、身の回りで使用されている様々な製品でろう付は適用されています。

 Q なぜ、それらの接合にはろう付が適しているのですか
 A プレス、曲げ、切削、切断など、加工された部材の形を損なわずに、複数の部品を同時に接合できる、といった利点があるからです。

 Q ろう付の工法にはどのようなものがありますか
 A 炎の燃焼熱を利用する「ガスろう付」、ろう付する部品の加熱を炉内で行う「炉中ろう付」、加熱コイルに高周波誘導電流を流し、加熱コイル近くのろう付物に誘導電流を生じさせ、その自己加熱によって加熱ろう付する「高周波ろう付」、ある一定時間、ろう付部に適当な電流を流し、その抵抗熱を利用してろう付する「抵抗ろう付」などが代表的なろう付工法です。


写真1 ガスろう付

 Q それらの工法はどのように使い分けられるのですか
 A 部材の材質や大きさ、接合箇所など様々な条件を加味した上で、最適なろう付工法が適用されます。またコストパフォーマンスに優れていることも工法を選定する時の大きな条件で、その時、使用するろう材の形状もポイントです。ろう材の形状には棒、ワイヤ、リング、プリフォーム、ペーストなどがあります。

 Q ろう材には成分別にどのような種類がありますか
 A 銅ろう、黄銅ろう、銀ろう、りん銅ろう、銅マンガンろう、ニッケルろう、金ろう、パラジウムろう、アルミニウムろうなどがあります。

 Q フラックスとは何ですか
 A 適正なろう付には、母材およびろうの表面を覆っている酸化皮膜を完全に除去し、ぬれ性を確保する必要がありますが、その酸化皮膜を化学的に除去するために塗布するのがフラックスです。フラックスは酸化皮膜の除去以外に、加熱中の酸化を防止する働きもあります。

 Q ろう付を行う場合に留意すべき点は
 A 金属表面を活性化させるためにフラックスを利用して、金属表面とろうを良くなじませることはもちろんですが、それと同時に最適なろう材およびフラックスの選択、ろう材供給のタイミング、適正な温度など、あらゆる条件をよく見極めることが大切です。

 Q ろう付作業は自動化できますか。またその方法は
 A 一昔前まで、ろう付の自動化は難しく、ごく限られた条件下での自動化しか行えないとされてきましたが、最近では幅広い分野で自動化が進展しています。
 自動化の方法はろう付の継手設計、部材調達および組立精度、ろう材の選定および供給方法、加熱方法などの要因により分類されますが、これまで主に炉中ろう付、専用機やロボットによるガスろう付、高周波ろう付などで自動化システムが開発されています。
 炉中ろう付の自動化は、最初から継手部にろう材を置き、その後に炉中を通す方法で、生産性に優れたものとして早くから産業界で適用されてきました。しかし一方で、大がかりな設備が必要になるほか、ろう付の継手設計が重要で、対象部品に制約が生じるなどのデメリットもあります。
 専用機やロボットによるガスろう付は、ロボットや治具を制御することによってフラックスの塗布、加熱(ガスバーナー)、ろう材供給を行う方法で、熟練技能者と同じ工程が取られるために、自動化する上で制約が最も少なくてすみます。
 熱源に高周波加熱装置を用いる高周波ろう付は、火炎を用いないため作業環境は良くなりますが、熱源特性の面から対象ワークの制約を受けるため、特定分野での適用が多いようです。


写真2 高周波ろう付

 Q 特に自動化が進んでいるろう付工法は
 A ロボットおよび各種周辺装置の高性能化やワーク精度の向上に加え、制御技術の発展や各種センサの登場により、汎用性に優れた「ガスろう付の自動化」が現在、最もポピュラーな自動化システムとして普及しています。特に産業界において製品のライフサイクルの短縮化、多品種中・少量生産が主流になっている今、フレキシブルに対応できるガスろう付の自動化は目覚しい発展を見せています。


写真3 自動化が進むガスろう付

 Q ガスろう付作業を自動化するメリットは
 A (1)ろう付ワークの形や大きさ、金属の種類に影響されず、大抵の部品に適用できる
 (2)多品種中・少量生産に適し、設備費が安くつく
 (3)局部加熱、全体加熱のいずれにも対応可能
 (4)作業中の加熱やろう付の様子が視覚で確認できるため、修正やデータの変更が即時可能
 (5)ろう材の供給は置きろう、差しろうのどちらでも可能
 (6)バーナーの配列や火炎の調整により、複雑な形状や離れた箇所を加熱することができる。雰囲気ろう付も可能
 (7)還元炎や気化フラックスが使えるので金属表面の酸化を防ぎ、洗浄工程を簡素化することも可能などが挙げられます。

 Q ろう付に関してさらに詳しく知りたい時はどうすればよいですか
 A 産報出版から専門図書が発行されていますので、まずはそれを参考にしてみてはいかがでしょうか。ろう付関連図書としては「ろう付・はんだ付入門」「新版ろうの選び方・使い方」「溶接・接合用語事典」などがあります。

 大進工業研究所/高橋 光雄

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