溶接の歴史

2000年〜2004年












2000年(平成12年)から2004年(平成16年)まで





 この期の世界的動向としては、米国の世界貿易センタービルへのテロ攻撃(2001)をきっかけに、米英軍がイラクに開戦し、テロ対策に腐心する時代入り、欧州ではEUが新規に10カ国が加盟し、25カ国体制(2004)で結束を強めてくる。一方、大国として経済力をつけ続ける中国では、初の有人宇宙船の打ち上げ(2003)に成功している。

 国内での個々の溶接関連では、レ−ザは高速加工と、より微細加工への指向が強くでてきた。また、溶接ロボットでは周辺システムと組み合わせ適用範囲を拡げつつある。このためだけとも思えぬが、5年毎に行われる国勢調査では国内での溶接・溶断作業者総数が15%近く減少している。一方、ここ数年アルミ材への施工が増えた摩擦撹拌溶接は異種金属間や薄板分野へと伸び出している。その他、環境問題に関連した鉛フリーはんだはJIS制定(2003)などで、鉛はんだ全廃の指向が強まった























































































































































































































2000 高出力YAGレーザ装置








高出力が得にくいとされていたYAGレーザ部門で、最大出力5KWの装置を石川島播磨重工業が発表した。これにより従来機の倍速での溶接や厚板の切断も可能としている。*45[日]













2000 溶接学会秋季大会









発表論文の傾向を見ると、レーザ関係が最も多く全体の20%を占め、現象から加工までの幅広い内容となっている。*45[日]












2000 抵抗溶接用インプロセス制御装置











松下産業機器が、シミュレーション・フィールドバック技術を使い、均一なナッゲット径の確保、チリの発生の低減、使用電力の低減を可能にした、抵抗溶接用のインプロセス制御装置を開発した。*45[日]












2000 高速ティグ溶接システム











ティグ溶接で、ワイヤをより電極に近づけるために、添加ワイヤにも逆方向の通電を行うことで、、一段と高速溶接が可能とする溶接システムをパブ日立工業が発表した。*45[日]












2000 第3回レーザ加工国際フォーラム開催









レーザ加工国際フォーラムの第一回が1996年「レーザが生産技術を革新する」、第二回が1998年「生産技術としてのレーザ加工」で、今回は「レーザによる生産加工」を主テーマで行われた。*45[日]













2000 YAGレーザ溶接で魔法瓶









レーザ応用研究所は、YAGレーザを使いチタンとステンレスを接合する技術を開発した。これの応用面の一例にして、価格面でオールチタン製の半額となるチタン・ステンレス魔法瓶を製作が可能としている。*45[日]













2000 ティーチレス・ロボットの開発









川崎重工業がCADから出力される設計情報から、自動的に産業用ロボットの動作用NCデータを作成する、ティーチレス・ロボット・システムを開発したと発表した。*45[日]














2000 3KW半導体励起固体レーザ開発










三菱電機が、電気効率が18%以上と高く、光ファイバーで伝送できる出力最大3KWの半導体励起固体レーザを開発したと発表した。板金溶接分野での幅広い展開が可能としている。*45[日]












2000 厚板用溶接ロボットで提携











薄板溶接ロボットで大きなシェアを持つ安川電機と、建設機械分野で厚板でのノウハウを多く持つコマツが、機械、造船、橋梁向きの厚板アーク溶接ロボット分野で提携した。*45[日]












2000 溶接学会秋季全国大会











2000年度秋季大会での発表論文の21%がレーザ関連で、溶射も約10%を占めた。この傾向はここ2,3年続いている。*45[日]












2000 マイクロマシン用溶接装置の開発









オリンパス工学工業が、形状記憶マニピュレータの先端にレーザ溶接装置を搭載し、マイクロマシンの補修溶接作業が可能な装置を開発した。*45[日]













2000 産業用ロボットの稼働状況









国連欧州経済委員会の「全世界における産業用ロボットの稼働状況」の報告書によると、従業員1万人当たりの稼働台数は、日本が280台、シンガポール148台、韓国116台、ドイツ102台、アメリカ48台としている。*45













2000 宇宙溶接についての報告書発行









旧ソ連のパトン溶接研究所が30年以上の研究開発を進めてきた、宇宙溶接についての総合報告書「宇宙の溶接」を発行した。*45[ソ連]














2001年度普通鋼受注量










日本鉄鋼連盟は2001年度普通鋼材の用途別受注高を発表した。これによると、建築用は前年比3.5%減。製造業用では、船舶は11%増、自動車は1.3%増、その他の製造業での全て前年比マイナスである。*45[日]











2001 厚板大型構造物用小型溶接ロボットの開発








神戸製鋼所が従来のアーム長900mm以上の大型、600-900mmの中型に加え、600mm未満の小型溶接ロボットを開発したと発表した。これにより、大型構造物内の複雑形状の継手箇所にも従来より、より効率よく対応できるとしている。*45[日]

















2001 摩擦撹拌接合を銅合金に適用









これまでは摩擦撹拌接合は、アルミニウム合金などで実用化されていたが、日立電線と日立製作が共同で銅合金に適用を試み、銅バッキング・プレートの量産を開始した。*45[日]












2001 鉄骨フラッシュ接合システムの開発









竹中工務店と日本鋼管工事が、建築作業所での大型鋼材に適用できる鉄骨フラッシュバット接合システムを開発した。従来の定置型に比し、総重量を1/25にコンパクト化し、移動性と操作性を容易にしたとしている。*45[日]










2001 ハイブリッドYAGレーザ溶接ヘッドの開発









三菱重工業がYAGレーザとアーク溶接を同軸に配置し、これまで困難とされていた隙間のある溶接や、アルミ合金溶接の高速化を狙ったハイブリイドYAGレーザ溶接ヘッドを開発した。*45[日]









2001 片面プラズマスポット溶接機の開発









コマツはトヨタ車体と共同で、自動車ボディ用の溶接機を開発した。重ね板材の上板にプラズマを照射し、穴あけ後に板間の間隙を検出し、間隙量(0〜1.2mm)に相応するフィラーワイヤを供給、穴埋め溶接する仕組みのもの。*45[日]









2001 鋼管内での電子ビーム溶接装置の開発









川崎重工業と川崎製鉄は、共同で大径パイプライン用の鋼管製造用の電子溶接システムを開発した。管内を自走し溶接線を検知後、その周辺を排気し、所定の真空度下で全姿勢で電子ビーム溶接を行う装置。*45[日]









2002 溶接学会秋季全国大会での論文傾向








発表論文では、全体の約1/4の57件がレーザ関係で、次いで溶射・FSW・摩擦圧接関係が各23件で上位を占めた。数年前まで上位であったアーク溶接施工は18件、ロボット溶接は9件に止まった。*45[日]










2002 LDとYAGの複合レーザ発振器の開発








パルス出力型の半導体励起YAGレーザ光と、連続出力型のダイレクトLD光を単一光ファイバー内で重畳させた、ハイブリッドYAGLDレーザを片岡製作所が開発した。これにより溶接割れなどの発生しやすい難溶接材の精密溶接も可能としている。*45[日]










2002 無鉛はんだの開発








環境汚染の原因となる鉛を含まないはんだメッキ技術を大阪市立工業研究所他で開発した。また松下電器産業でもSn-Zn系の無鉛ハンダを開発した。*45[日]










2002 国際ウエルディング・ショーの開催








4年毎の国際ウエルディング・ショーが、「ITが開く溶接・接合新時代」をメインテーマに「環境にやさしいファブテックをめざして」をサブテーマにして、東京ビッグサイトで開催された。*45[日]










2002 全構協で鉄骨品質保証制度発足








全国鉄構工業協会で建築鉄骨の品質確保、建築鉄骨製作企業の経営安定の両立を最重要課題に掲げ、鉄骨品質保証制度案の骨子を発表した。*45[日]










2002 日鐵溶接工業と住金溶接工業の事業統合








日鐵溶接工業と住金溶接工業は溶接材料および溶接機器の事業統合を行い、「日鐵住金溶接工業」として発足した。*45[日]










2002 特殊鋼の水中切断








水素ガスを使い、熱影響部の少ない水中切断工法を坂戸工作所が開発した。 これにより特殊鋼切断時の割れや軟化層などの発生を防げるとしている。*45[日]










2002 ファイバーレーザでの高出力








2kwの高出力加工用のファイバーレーザの販売をティー・イー・エム社が開始した。これにより、これまで溶接・切断の難しかったアルミニウムや銅などの素材にも高いエネルギー効率(20%)で適用できるとしている。*45[日]










2002 微細加工用の紫外線レーザー加工機の開発








三菱重工業が波長266ナノメートルの微細加工用の紫外線レーザー加工機を開発した。プリント基板向け穴あけの従来機に対して、これまで難しかったセラミックスやガラスなどの無機質材の微細加工にまで範囲を拡げたとしている。*45[日]










2002 摩擦撹拌接合応用の異種金属接合法の開発








日立製作所が摩擦撹拌接合を利用し、銅とアルミ、銅と鉄などの異種金属接合技術を開発したと発表した。*45[日]










2002 裏波水中自動溶接開発








三井造船が大型海洋構造物向けの水中裏波溶接技術を開発した。裏当て材に撥水性の高いシリコン樹脂を使ったのが特徴である。これにより、溶接部周辺の海水を押し下げ、大気中と同じ状態で溶接する従来工法に比し、工期コスト共に大幅に削減できたとしている。*45[日]










2002 溶接学会秋季全国大会開催








発表論文数では、レーザ関連がトップで撹拌摩擦接合と溶射が続いた。その他マイクロプロセス、ろう付、シュミレーションも加わり、範囲が広がる傾向が見られた。*45[日]










2003 国勢調査での金属溶接・溶断作業者数








5年毎に行われる国勢調査で、国内の金属加工作業者の内、金属の溶接・溶断作業者総数を2000年は23万8500人で、前回(1995年)調査より15.4%減と発表した。*45[日]










2003 日本学術会議が溶接戦略を提言








日本学術会議の接合工学専門委員会が「溶接接合技術の進歩と21世紀への展望」の報告書をまとめた。内容の骨子は、ものつくりの底辺を構成する技術の在り方、国際的優位性への対策、接合部から発生する構造物の事故、国際基準を満足する教育、産学の国際連携についてなどである。*45[日]










2003 遠隔監視ロボットの開発








三菱重工業は、原子力発電所での事故発生を想定しての遠隔操作で、施設内の事故を目視確認できる点検ロボットを開発したと発表した。*45[日]










2003 パウダープラズマ溶接工法の開発








松下溶接システムは薄板分野向きのプラズマ溶接法を開発し、ロボットと組み合わせて販売をはじめた。安定性と指向性の高いプラズマアークのトーチ先端から同心円上にパウダーを供給することで、ノンスパッタで均一なビード外観と、歪みの少ない溶接が得られるとしている。*45[日]










2003 摩擦スポット溶接法の開発








マツダが自動車アルミボディ向き、スポット・フリクション・ウエルディング法(SFW)を開発した。2枚のアルミ板を上下ツールで挟み、加圧しながら上部ツールを回転させ、その摩擦熱も重畳させるスポット溶接で、加工エネルギーを著しく低減できるとしている。*45[日]










2003 反復摩擦撹拌溶接法の開発








英国TWIで摩擦撹拌溶接で新しい工法を開発した。従来法ではプローブが同一方向での連続回転であったため、ビードの非対称性の問題点があったが、新法ではプローブを半回転から数回転毎に反転させ、ビードが環状で完全に左右対称としたとしている。*45[英]










2003 2点同時のスポット溶接法の導入








金属板を重ね、片側のみから別々の2点に電極を押し当て、並列した電極間を横方向に電流を流れるようにした「バック電極レス・シリーズ溶接法」をトヨタ車体が生産ラインに導入した。*45[日]










2003 鉛フリーはんだ試験法の制定








経済産業省産業技術環境局が鉛フリーはんだ試験法のJISを制定した。これにより欧州の有害物規制で2006年以後使用禁止となる、Sn-Pb系はんだの代替えとなる鉛フリーはんだの開発、実用化が一段と進むことになる。*45[日]










2003 炭酸ガスレーザのファイバー伝送







これまで困難とされていた、炭酸ガスレーザ光のファイバーによる伝送に成功し、3次元レーザ・ファイバー切断システムをトーキンが販売開始した。*45[日]








2003 阪大接合研と神戸製鋼所が包括的技術提携








大阪大学接合科学研究所と神戸製鋼所が溶接・接合分野の研究で包括的提携を結んだ。この狙いとして、実用につながる学術研究の推進、研究成果の実用化推進が挙げられている。*45[日]








2004 セラミックスと金属の接合時間の短縮









チタンと銅を一定比率で混合した粉末を使って、セラミックスに金属膜を作る方法を太陽マテリアルが開発した。出来た金属膜表面に銀ー銅系のろう材を挟み、金属板を重ね真空炉で600℃に加熱接合する。従来法より処理温度が低いため母材の影響が少なく溶接時間も短縮するとしている。*45[日]








2004 銅とアルミの振動接合技術の開発









銅とアルミに振動を与えながら擦り合わせる溶接法で、日本軽金属と日軽金アクトが共同開発した。摩擦熱で高温を出し、振動で表面の酸化膜を破壊し、接点部分で原子が分散し融合する。その際、融合部は約50μm巾で熱伝導率の高い共晶合金層を形成する。*45[日]







2004 融点200℃以下の鉛フリーはんだの開発








ニホンゲンマとソニーが共同で、大気フローが可能な錫ー亜鉛共晶鉛フリーはんだクリームを開発した。融点199℃で従来品より20℃低く、リフローも窒素などの特殊雰囲気が不要で、銀の含有もなくコスト面も優位としている。*45[日]








2004 溶接学会研究推進部会活動








溶接学会は総会で学会活性化活動の具体的テーマとして、自動車車体・部品の工作精度関連の諸問題薄板の高速溶接プロセス高温割れの発生予測摩擦撹拌接合での接合因子の選定を選んだ。*45[日]









2004 鉛はんだを全廃へ








日立製作所の2004年度版環境経営報告書で、この3月以降国内で生産する電気・電子機器の基板接続箇所について、鉛を含むはんだの使用を全廃したことを明らかにした。*45[日]









2004 ステンレス車両に全面レーザ溶接を







川崎重工業はステンレス車両の製造工程でのスポット溶接箇所を、全てYAGレーザ溶接に切り替える方針を打ち出した。*45[日]











2004 1mm厚アルミ板の摩擦撹拌溶接技術の開発







接合用ジグの工夫で高精度の位置合わせと、接合面に当てる工具の回転数の最適設定により1mm前後のアルミ合金の摩擦撹拌溶接が可能になったと、富士重工業が発表した。防衛庁向け無人標的機の円筒構造の接合面に適用される。*45[日]








2004 スパッタ低減の溶接法開発








炭酸ガスアーク溶接で微細スプレー移行を行うことで、スパッターの発生を大幅に押さえられる溶接法をJFEスチールが発表した。従来の逆極性ではなく正極性で、アーク安定剤が添加されたワイヤを使う方法で、スパッタ発生量を1/10以下に低減できるとしている。*45[日]

























































































size=-1>参考文献
*1  トレッガー:世界史大年表 *2  カーター:ツタンカーメン発掘記
*3  朝日新聞:日本科学技術史 *4  シンガー:技術の歴史
*5  ベック:鉄の歴史 *6  田口:鉄の歴史と科学
*7  テンプル:中国の科学と文明 *8  小林:古代の技術
*9  進藤:蝋付けと溶接 *10 桶谷:金属と人間の歴史
*11 清水:鎌倉大仏 *12 宋:天工開物
*13 手塚:溶接のおはなし *14 デリー:技術文化史
*15 ヘルマン:科学年表史 *16 軽金属協会:アルミニウム技術便覧
*17 山崎:電気の技術史 *18 城坂:科学技術史
*19 シモンソン:溶接の歴史 *20 編集委員会:溶接五十年史
*21 アシモフ:科学の発見と年表 *22 日本熔接協会:造船の溶接
*23 佐々木:溶接技術発達史 *24 ボイド:JOINTING NATIONS
*25 溶接協会:日本溶接協会30年史 *26 中山:電孤鎔接の実際
*27 委員会:現代日本産業発達史 *28 機械学会:日本機械学会60年史
*29 造船協会:日本近世造船史 *30 関西造船協会:五十年の歩み
*31 阪大溶接工学科:創設30年史 *32 溶接協会:日本溶接協会40年史
*33 全国高圧ガス溶材組合:全溶連史 *34 造船工業会:日本造船工業会30年史
*35 軽金属溶接会:イナートガスアーク溶接 *36 摩擦協会:摩擦圧接協会二十年史
*37 ボイラクレーン安全協会:20年のあゆみ *38 高圧ガス保安協会三十年史
*39 中山他:戦後科学技術の社会史 *40 原子力開発三十年史
*41 溶接協会:安全衛生委員会20年史 *42 神戸製鋼:神溶会三十年史
*43 溶接協会:車両部会40年の業績 *44 溶接ニュース
*45 溶接技術

お勧めの書籍