溶接の歴史

紀元1600年〜1800年

紀元1600年(慶長5)から1800年(寛政12)まで
 この時代は前期に西欧で多くの錬金術師があらわれる。彼らは金を作り出すことは出来なかったが、化学と金属加工の実験を多く行い、われわれに科学的基礎知識を残してくれました。
 そして後期では、道具に代わる機械の使用で、蒸気機関に代表されるような産業革命期には入って行きます。一方わが国は、外部との交流を遮断する鎖国時代で、金属加工技術は小さくまとまり工芸的に優れたものも出るが、技術的には停滞状態となります。

1600 炭酸ガスの研究
 フランドルの医者ヘルモント(J.B.HELMONT)が、木を燃やした時に出る気体の研究をし、これを「木のガス」と呼ぶ。これが今日の二酸化炭素のことである。*19[ベルギー]

1609 大砲の製造
 わが国で製造した最古の大砲は、徳川家康が大阪冬の陣で使ったことで有名である。この製法は、鋳造説と鍛造説があったが、瓦付法で鋼片を幾重にも鍛接して作ったことが後刻わかる。*6[日]

1669 燐の発見
 化学者ブラント(HENNIG BPAND)が、錬金術の実験時に空気中で白く光る白い蝋のような物質を発見し、これを燐(PHOSPHOROUS:光を出すもののギリシャ語)と名付ける。*21[独]

1709 製鉄にコークス
 製鉄所のダービ(ABRAHAM I DABY)がコークスが木炭より強く、多量の鉄鉱石を炉内で支えられ、鉄の生産が早くできることを発見する。これにより製鉄技術は格段に改良される。*21[英]

1712 蒸気機関の開発
 製鉄にコークスが利用されたことにより、石炭の需要が急速に増え、炭坑から水をくみ出す必要性が増加する。この排水用の機械としてニューコメン(THOMAS NEWCOMEN)が、新しい蒸気機関を開発する。*21[英]

1713 ろう材料
 「和漢三才図会」に白鑞の配合を「鉛一斤(600gr)、唐錫十両(375gr)を練り和せ、之を用ゐて銅鐵の耳鐶の脱漏を錮ぐ」と記述しているが、これは現在のはんだのろうの配合成分と、ほぼ同じである。*9[日]

1720 キュポラ溶鉱炉
 レオミューレ(A.F.REAUMUR)が鉄を溶融するのにキュポラ溶鉱炉を建設する。そして二年後に、鉄についてのはじめての技術論文「鉄を鍛えて鋼鉄にする方法」を発表する。*15[仏]

1737 コバルトの発見
 銅の鉱石に似ているが、溶融しても銅が得られない青い鉱石のあることは知られていたが、化学者ブラント(GERG BRAND)が銅と異なる金属を抽出し、地の霊にあやかり、コバルトという名を付ける。*21[スエーデン]

1751 ニッケルの発見
 鉱物学者クルンステッド(AXELF.CRONSTED)が、銅鉱石に似て銅もコバルトも生じない、鉱夫から「悪魔のニック」と呼ばれていた鉱石から、白い金属を抽出し、これにニッケルという名を付ける。*21[スエーデン]

1764 蒸気機関の完成
 ワット(JAMES WATT)が復水器を考案したことで、強力で石炭消費量もそれまでのニューコメン機関の1/6程度で済む、実用的な蒸気機関を製作する。*18[英]

1766 水素の発見
 キャベンデシュ(HENRY CAVENDISHI)が、ある種の金属に酸を作用させると、非常に燃え易い気体が発生することを知り、これを「火の空気」と名付ける。これが現在の水素である。彼はまた、1784年にこのガスを容器内で燃やすと液滴が付着し、それが水であることがわかり、水素と酸素が化合して水になることを発見する。これを聞いたラボラージェ(ANTOINEL.LAVOISIER)が、この気体に「水を作るもの」を意味する水素(HYDROGEN)という名を付ける。*21[英]

1772 窒素の発見
 ラザフォード(DANIEL RUTHERFORD)は、密閉容器内でろうそくを燃やし、生じた炭酸ガスを薬品で取り除いても、まだ多量に別の気体が残っており、それが燃焼や動物の生存に役立たないガスであることに気付く。これが窒素(NITROGEN)の発見である。窒素の語源は、硝石(HITER)を作り出すものを意味するギリシャ語である。*21[英]

1774 酸素の発見
 プリーストリ(JOSEPH PRIESTLEY)がシェーレ(C.W.SCHEELE)より2年遅れて独自で発見したのであるが、その結果発表がプリーストリが先であったため、発見者の名誉を得ている。彼は酸化水素の実験で、空気中よりも激しく明るく物が燃えるガスを抽出し、これを酸素(OXYGEN:酸を作る物質を意味するギリシャ語)と名付ける。しかし中国では、8世紀にすでに酸素の存在を知っていたとの話もある。*15[英]

1781 ろう付方法
 この年出版された「装剣奇賞」には先の「和漢三才図会」についで、わが国ではめずらしい、ろう付やろう付方法についての具体的な記述がある。それによると銀・銅・唐白目をルツボで溶かし粉末にして硼砂水とこね合わせる。これを、ろう付をする箇所に塗布し、その上に接合材をかぶせる。そして、全体を鉄で縛り火中に入れ、取り出して水中に投入するとある。*9[日]

1783 タングステンの抽出
 鉱山学者エルヤル(DON F.DELUYAR)は、錫鉱山から産出するウォルフラマイト鉱石を分析し、新しい金属を取り出す。これに、重い石を意味するスエーデン語に由来するタングステンの名前が付く。*21[スペイン]

1788 炭酸ガスの命名
 ラボラジェ(A.LAVOISIER)がかつて「木のガス」などと呼ばれていた気体が炭素と酸素の組み合わせであることを証明し、炭酸ガス(CARBONIC ACID GAS)と呼ぶ。*19

*と数字のある参考文献は1990-文末にまとめて掲載しています。

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